出版社内容情報
ベルクソン哲学の思想的骨格を窺わせる「哲学入門」「変化の知覚」.純粋持続や直観といった独創的な哲学が,どのように形づくられたかを語る,思索の記録ともいうべき「緒論」を含めた8篇を収める.(解説=木田元)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bartleby
18
「直観は、世界という大きな書物のなかから自分が選んだ頁のなかに、構想の動きとリズムを発見し、同感によってそこに嵌りこみながら創造的進化を体験しようと欲するであろう。」ベルクソンの哲学的自伝のような作品「緒論(第一・二部)」を再読。若い頃ぶつかった持続と直観の問題についてベルクソンは探究し続けた。その探究過程について語られているこの緒論に彼の哲学のエッセンスがつまっていることが再読してよく理解できた。前に読んだ時はその密度の濃さ故に入り込みにくかったけど、今回は内容がすっと入ってきて、そのことに少し驚いた。2014/04/10
白義
14
ベルクソンによる哲学の方法論をまとめた論文集。哲学一般の話をしているはずなのに完全にベルクソン自身の哲学の話になってて笑えるが、直観によるイメージを通して掴まえられる実体としての持続、内的リズムという考えは後のドゥルーズにも繋がると共に、哲学を離れて秀逸な芸術論にもなっていると思う。悟性による分析を科学の仕事に割り振って、哲学をそこから峻別しようとしているのが印象的。ベルクソンの哲学全体の入門やまとめになるが、頭の緒論は結構手こずると思う。三本の人物論はジェイムズ論が面白かった2012/08/19
Z
7
を取り戻させるためのもので、形而上学のみならず科学も静的に物事を捉えるものとして、物事を内側から眺めて、生きた活動を精神に取り戻させることを目標とするもの。ベルグソンの姿勢はわりと好き2022/02/01
masawo
7
論文・講演を集めたもので「精神のエネルギー」よりも読み応えあり。直観についての考察に多くの頁が割かれており「時間と自由」の副読本的な内容。時おり文章中に表れる哲学探究へのパッションは、ベルクソンに対するイメージを大幅に変えてくれた。2019/05/18
壱萬参仟縁
6
「私は、あらゆる事がらについてもっともらしいことを器用に話す心得のある『頭のいい人間』をたいして尊敬しない。(段落変え)器用に話す人は、即座に批判する」(123ページ)。器用に話すことと、たどたどしく話すことは、別の人間像を想定できる。どちらを尊敬したらいいのか、と筆者は問題提起している。このことは社交場、現代でも重要な問題を含んでいる。器用でも信頼されず、たどたどしくとも誠意が伝われば信用されるケースを考えればいい。本著は論文や講演、演説から成る。ベルナール『実験医学序論』もあり、岩波文庫版をみたい。2012/08/05