出版社内容情報
ここに集められた「愛を知る人」をめぐる断想五九篇は,自らもひそやかな愛に生きた社会学者ジンメル(一八五八‐一九一八)の手になるものである.晩年の厳しく澄んだ思索の結晶である「日々の断想」一六六篇とともに,ジンメルの思想の特色である「試み」「断想」的性格の魅力が十二分に発揮された哲学断想集.
内容説明
ここに集められた「愛を知る人」をめぐる断想59篇は、自らもひそやかな愛に生きた社会学者ジンメル(1858‐1918)の手になるものである。晩年の厳しく澄んだ思念の結晶である「日々の断想」166篇とともに、ジンメルの思想の特色をなす「試み」「断想」的性格の魅力が十二分に発揮された哲学断想集。
目次
愛の断想
日々の断想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
25
「客観的なもののために生きる、その価値が全く自己自身のうちにある物体の創造のために生きる、そうなると、生命という問題が無視されてしまう。……私たちが或る物を力の限り完全なものに作り上げると、それで、自分自身を出来るだけ完全なものに作り上げるという義務を免れたと考えることがよくある。即ち、物の問題を解く事によって、私たち自身の問題を解くのを避ける。」ニーチェも言ったように箴言というのは何度も読み返すことによって初めて理解できる。これを読むと、ジハードなどが止まないかがよくわかる。2022/09/27
ぱんぺろ
25
むかしはこれが精神の目的のひとつでした。でも今は、生活のなぐさめ。高くめざすべき頂ではなくなって、日々を容れる器をささげ持つうつくしい指の組みあわせ。形而上性とプラグマティズムが精細に混淆された構図は誠実で、繊細で、力強い。生まれながらにして、ことばがもつ無限が、胸のうちを隅ずみまで潤す慈雨となって、何か見えないものに触れた。ことばに具わるいのち。えんえんとつづく、人ある限り、つむがれてゆくいのち。そこに身をおいて、ゆびおりかぞえる、人への希りが信じるに足る、類い稀な、ザ・名著2018/11/28
S.Mori
9
愛することと、生きることに対する透徹した洞察が書かれた本です。短いのでアフォリズムのようなところもありますが、それよりも深い内容を持っています。人生に真摯に向き合って、思考を深めそれを自分の言葉で表現しようとする姿勢に深く感動しました。性的な欲求を超えた愛の素晴らしさを讃えながら、完全な結びつきの中でも人間は孤独であるという諦観はある意味悲しいですが、そこから目をそらさない勇気には励まされます。あらゆる瞬間を究極の目的ととらえながら、それを意識しない生を目指すという生き方も説かれています。2019/06/30
双海(ふたみ)
7
再読。この前は図書館本だったが書き込みをしたいので買ってきた。すごくいい。栄養満点。こういう断想が大好き。2025/05/11
讃壽鐵朗
6
ジンメルに愛人がいて、子まで成したとは驚き2017/04/15