出版社内容情報
ケーベル博士はヒルティを自分の「生涯の伴侶」の一人に数え,「彼の如く,若き人々の師となり友となるに適せる者は,近代の著作家中きわめてまれである」といっている.本書はヒルティの代表的な宗教的・倫理的著作であり,深い学識と不動の信念から出るその深い思索は,真摯に生きんとする人々へのよき人生案内となっている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
88
印象に残ったのはキリスト、とりわけその復活を信じることは、神の存在を信じることはよりもハードルが高い。従ってまずは神を信じるところから始めるのでいっこう構わない、との指摘。これには正直ホッとさせられた。「復活」も「神の存在」も真偽のほどは我々の理解を超えるもので議論しても恐らく埒が明かないが、前者を信じることを信仰の前提とするなら、その時点で匙を投げたくなるものでもあるからだ。この本は決してキリスト教への入信を進めるものではなく、あくまでも幸福とはどのような状態か、という視点に立って書かれている。良書。2023/05/06
ロビン
17
第三部は「二種類の幸福」「信仰とは何か」「現代の聖徒」等、キリスト教的宗教色の濃いめの内容となっている。「信仰なるものは、そのどの段階においても、決して安全確実な所有ではない。むしろそれは、魂の奥底のつねに安らかな一点によって、内外の幾多の困難を克服していく、一つの習慣に他ならない」「生活をともなわない信仰がほんものでないことは、信仰の否定者でも知っている」と彼が言うように、信仰生活とは絶対的なものを内に抱いての絶えざる歩みであり、日々に生きているものでなくてはならないと思う。他宗教だが気づきは多かった。2019/05/24
アミアンの和約
16
全編通して読んだが全体的に聖書の注釈本という印象。まぁ本書が出た時代背景を思えばキリスト教への回帰という意義はあったのかもしれないが、あまり共感できる部分はなかったかな。2024/04/06
Gotoran
15
第二部から三ヵ月置いての第三部を初読。敬虔なクリスチャンである著者が、“二種類の幸福”~“より高きをめざして”の九つの主題について、至るところで聖書の該当箇所を引用しつつ、強固な信念(信仰心)を持って力強く、ときには寛大な心を持って柔軟に述べてゆく。そこには、キリスト教色は強いものの、特定宗教を超えた人としての意識・真理に結び付く至言があり、所々ではダンテ、ゲーテ、シラーからの引用、はたまたカント、ショウペンハウアー、ニーチェ等への言及(どちらかと云えば否定的扱い)、あり で、非常に興味深く読めた。2012/06/23
まろにしも
13
★★★★★自分の弱さ、バカさ加減にうんざりすることがよくある。自分勝手な言動の結果、周囲を傷つけ、自分自身もしんどくなったり・・・そのような私にとって、ヒルティの言葉は本当に力強く、厳しくも希望的。この本と出合う前に、三浦綾子氏、三浦光世氏や榎本保朗氏の本や聖書を読んでいたことも、幸運なことだったと思う。2016/09/17
-
- 和書
- 大養生のすすめ