出版社内容情報
レッシングからゲーテを経てノヴァーリス,ヘルデルリーンにいたる輝かしいドイツ精神史の流れは,ディルタイ自身の哲学を生んだ精神的な揺籃であり故郷にほかならなかった.人間の体験から出発して歴史理性批判の遂行に立ち向かったディルタイ哲学の方法的核心は,この偉大な精神の伝統に即して内面的に解明される.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
8
下巻はノヴァーリスとヘルダーリン。上巻のレッシング/ゲーテと続けて読むと、啓蒙主義とロマン主義の文学の間の連続性がわかる。詩を個人的体験の直観的表象と考えるディルタイは、個人の内面的体験を深く掘り下げていく。レッシングやゲーテの分析と比べても伝記的要素が強い。革命への反動期に詩作を行なった二人は、現実と理想の断絶をより強く感じ、彼岸への憧憬を強めた。宇宙統一は行動ではなく瞑想によるしかない。理性は社会から内面世界へと向かう。後の精神分析の先駆けともいえるこの転回においてレッシングに見られた社会性は失われる2020/11/25