岩波文庫<br> ブーガンヴィル航海記補遺 - 他一篇

岩波文庫
ブーガンヴィル航海記補遺 - 他一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 164p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003362464
  • NDC分類 290.9
  • Cコード C0110

出版社内容情報

航海家ブーガンヴィルの報告するタヒチ人の原始生活に,老朽し堕落したヨーロッパの習俗が対置され,この作家独自の対話形式のもとに,大革命を準備する十八世紀フランスの積極的文明批評の一つが展開する.「百科全書」の完成した年に書かれ,未公表のまま回し読みにされていた作品.他に女性の哀歓を描く「女性論」一篇.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Happy Like a Honeybee

6
徐々に植民地化されていくタヒチ。 その過程が残されたノンフィクション的要素の強い一冊。 架空の対話を取っているが、実際はルポに近い。 奴隷制度、未開人、キリスト教的価値観、文明と文明の対立。 なぜ日本が植民地化されなかったのか。 そんな事を考えさせてくれる一冊。 2018/04/21

Nemorální lid

2
革命の土台を用意した『善良な未開人』と言う考え方は指導者的役割を持つ思想家のユートピア観を顕著に表している。その一人であるディドロも然りで、大衆の啓蒙が低いほど政治的ユートピアは発生しやすいと言うレーニンの考えは的を射ていると思う。そんなディドロが近世ヨーロッパの『習俗』と『文明』の錯綜をタヒチ人の口を借りて暴露する書き方から、当時の絶対王政の政治的腐敗や習俗的堕落に絶望した彼が『未開』たる文明以前の地を希った事に『文明の限界』を垣間見た。しかし今、固定化された社会制度の先に待つのは何であろうか?2018/03/22

takeakisky

1
ブーガンヴィルの世界周航記は読んだことがない。読んだことのない本の書評と読んだことのない本の架空の補遺をもとにした対話篇。だから今まで読んでみなかったが、いきおいでこれも読む。ディドロの思考実験の思考実験のような読書。マイルドな着地点であるが、論評される点は今日的でもある。自然法と市民法(と社会法)しか、ほぼ持たぬはずの日本国の市民は、同調圧力という三番目の法でみづからを雁字搦めに縛りすぎている感がある。社会が複雑になったといえばそれまでだけれど。女性については、いままで読んだなかでは一番説得力に缺ける。2023/12/06

あかふく

1
ブーガンヴィル氏の航海記は「ひたすら事物、真実、単純さに対する関心だけで書かれている。」また彼はロンドン王立協会の一員であったという。ディドロはこれに対して微妙な位置に立つ。確かに「あり得べきところにあるべき」という言い方は一対一対応重視に見えるが、本作での「高貴なる野蛮人」への対応は決して侵略的ではない。そもそも「補遺」においてまずAとBの対話があり、タヒチにおける対話があり、それに対してAとBが議論をし、またタヒチの話、という形式になるとき、そこではいくつかの意見が並列されているにすぎなくなっている。2013/12/16

悸村成一

0
上。復刊:4刷1991年。「女性について」併収。タヒチ人の習俗、オリノコ・インディアンの例など、文化人類学の隣りで思考するのに最適。 102015/01/08

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