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岩波文庫
ラモーの甥 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 224p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003362433
  • NDC分類 953
  • Cコード C0198

出版社内容情報

百科全書派の巨匠ディドロ(一七一三―八四)の最高傑作とされる対話小説.大作曲家ラモーの実在の甥を,体制からはみ出しながら体制に寄食するシニックな偽悪者として登場させ,哲学者である「私」との対話を通して旧体制のフランス社会を痛烈に批判する.生前は発表されず一八〇五年ゲーテのドイツ語訳によって,俄然反響を呼んだ.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

karatte

19
再読。空き時間を利用してちょろっと読み直してみるかと思い立ち手に取ってみたが、読み出したら内容ほぼ忘れてると判明。訳注と解説で1.5倍の文章量になっているが、さすがに本文だけでは理解できない事柄がいっぱいなので致し方なし。まあこんなに実名出されちゃ生前の刊行は無理だわな……ていうか初読時からは比較にならないほど理解が深まったのは、『ダランベールの夢』を読んだ後だからだろうか。というわけで次に読むのはそれに決定、と。2018/05/11

H2A

18
フランスバロックの大作曲家ラモーの甥である「彼」と、哲学者である「私」の、小説なのか戯曲なのか分類しづらい対話篇。かなり辛辣な内容で、当時の人物を実名で槍玉にあげているため作者の存命中は出版されなかった。道化であり権力者側の追従者に成り下がった彼が、常識や理性をたまたま垣間見せたばかりに路頭に迷い、カフェで遭った旧知の「私」に向けて人間社会に対する呪詛を投げつける。ト書きにあたる部分で音楽やパントマイムが深い印象をもたらし、ラモーの甥に不滅の実在感を与えた。異端的人物ディドロの傑作。2014/02/09

フリウリ

9
ディドロの死後20年も経ってから、ゲーテがドイツ語に翻訳して初めて発表されたという「ラモーの甥」。一世代前の音楽家ラモーの甥が、カフェで哲学者である「私」と会話するという設定になっています。会話のテーマは、当時の哲学や芸術に関する話題ですが、当時の有名人への批判や風刺がてんこ盛りで、今読むとわかりにくい部分が多々あります。ゲーテの「ファウスト」におけるファウスト-メフィストフェレスの関係が、本書の哲学者-ラモーの甥の関係にあたる、という指摘はなるほどと思いました。62024/04/08

K

9
ヘーゲルを読んでいる時にしばしば目にした覚えがある。それで一応目を通したがいまいちうまみが分からなかった。ラモーの甥の言葉を通して、当時の社会に対する皮肉や反語、そして自らに対する嘲笑も語られる。ラモーの甥と哲学者(ディドロ)との対話形式であるから、もう一人の我に色々と吐かせているという印象を受ける。そしてそれを宥めて、前を向かせるみたいな。訳者に言わせれば、これはディドロの「傑作」であるらしい。2023/11/17

かみしの

7
話自体は壮絶な井戸端会議といった感じで、それはそれで当時の当てこすり文化といえばいいのか、実名をどんどん出していく社交界のエスプリを感じられる。けれどもどちらかといえば文学的価値のほうに目をやりたくなる。ラモーの甥の道化的なふるまいは、解説で言われているように『ファウスト』のメフィストフェレスだったり、『ゴリオ爺さん』のコランに通じる。近代文学の萌芽としてこの戯曲なのか哲学なのか小説なのかよくわからない内輪話をとらえてみて初めて、この本の真価がわかりそう。単純に『ファウスト』に影響を与えているってすごい。2016/11/28

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