出版社内容情報
中世を代表する哲学者、トマス・アクィナス(1225頃 - 1274)が生涯を賭けた集大成『神学大全』。壮大な神学の殿堂は、汲み尽くしえない叡智の宝庫である。神論、人間論、キリスト論の全三部から初めて思索の核心を精選。1は人間論の中核「徳」論を収める(全四巻)。
内容説明
中世を代表する哲学者、トマス・アクィナス(一二二五頃‐一二七四)が生涯を賭けた集大成『神学大全』。壮大な神学の殿堂は、くみ尽くせない叡智の宝庫である。神論、人間論、キリスト論の全三部から初めて思索の核心を精選。1は人間論の中核「徳」論を収める。(全四冊)
目次
第2部の第1部(習慣一般について―その本質に関して;習慣の基体について;習慣生成の原因について;習慣の増強について;習慣の消滅および弱減について;習慣の区別について;徳の本質について;徳の基体について;諸々の知的徳の区別について;倫理徳と知的徳との区別について ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buuupuuu
19
第1巻は習慣論と徳論の一部の抜粋。形而上学的な議論が展開される。「習慣」と訳されている「habitus」は、学知や、限定付きで健康などを含み、我々が「習慣」という言葉で意味するところと必ずしも重なるわけではない。謂わば何らかの原因によって堅固に秩序付けられている状態のことである。そして徳は習慣の一種であるとされる。アリストテレスは徳を倫理的なものと知的なものに分けたが、トマスはそこに対神徳を加える。信仰、希望、愛徳というこれらの徳は人為的に獲得することはできず、ただ神によってのみ注入されるのだという。2023/08/10
プロメテ
13
全四巻刊行予定の精選集の一冊目。習慣論、徳論が収録されている。なんとか読了したが厳しい読書だった。アリストテレス、聖書、アウグスティヌスの記述を主に参考にし、私は答える、という風にさらに深く思索を深めていく構成である。習慣に関する記述の箇所はかなり手こずった。徳に関しても細部まで出所、各々の徳の比較など、手広く膨大な知の大聖堂のごとく論述している。徳を認識すること、把握すること、追求すること、一体化することが人生の課題のように思えた。膨大な行動原理や欲求など幅広く考えさせられた。これからも黙想すると思う。2024/02/24
春ドーナツ
12
岩波国語辞典第七版によると、「習慣」とは「ある事が繰り返し行われた結果、その事がしきたりになること」。「しきたり」は「昔からのならわし。慣例。▽してきたこと、の意」とある。「徳」はそれなりのスペースが割かれているので、拾っていく。「身についた品性。社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力。広く他に影響を及ぼす望ましい態度。すぐれた求道者」。ラテン語の「habitus」をGoogle検索。「コトバンク」によると「態度,外観,装い,様子,性質,習慣などを意味する」。本書では「習慣」と訳されている。2023/11/26
Yasunori Hosokawa
1
岩波文庫で刊行開始された全4巻予定の最初の本。この巻は位置付けとしては人間の徳について論じてますが、それを形成するものとして「習慣」という言葉の意味から入ってるところが印象的でした。神学での人間というと内面の、どちらかというとエモーショナルで神秘的ニュアンスのものを想像してしまいますが、全く逆で習慣からという、これは肉体を持つ人間存在の現実側面から接近していこうという、トマスがよく引用するアリストテレス的思考を感じます。2023/10/05