内容説明
中世最大の哲学者であり、『神学大全』で知られるスコラ学の代表的神学者トマスの政治思想論文。西欧文学に伝統的な“君主の鑑”とよばれる文芸ジャンルの体裁にのっとって理想の君主像や統治の形態などを論じる本書は、トマスの著作のなかで政治学に関する唯一のものである。“君主”とは、いかにあるべきか。
目次
生活を共にする人びとは誰か王によって慎重に統治されるのが必要であること。
生活を共にする人びとにとっては、一人の人間によって統治されるほうが、複数の人間によって統治されるよりも、より有益であること。
一人の支配が正しいがゆえに、最善であるように、その反対は最悪であること、そのことは多くの理由および論拠によって証明される。
ローマ人の間で支配権はいかに変遷したか、またかれらの間ではむしろ多数者支配の国家がしばしば発達したということ。
多数の支配においては、一人の支配におけるよりも、しばしば僭主制的支配が生じること、したがって一人の支配のほうが優ること。
一人の支配が確かに最善であるとの結論。民衆はその人に対してどのような態度をとるべきか、を示す。それは僭主制に陥る機会をかれから取り除くことが必要だからである。そしてより大なる悪を避けるためにこの支配が認容されるべきであること。
本章で聖博士は、現に王の統治において主要な動機となるのは名誉か栄光のいずれであるか、そしてさらにそれらのいずれを守るべきか、について見解を示す。
本章で博士は、王をして善き統治へと促す真の目的とは何か、について説き明かす。
本章で聖博士は、王侯君主の報酬が天上の浄福において最高の位置を占めることを説き明かし、そのことを数多くの理由と実例によって指し示す。
王侯君主はそこより生じる自己自身の善と利益のために善き統治を熱心に求めねばならないこと。その反対から僭主制的支配が生じること。〔ほか〕
感想・レビュー
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ヒロキです
Francis
うえ
壱萬参仟縁
Fumoh