出版社内容情報
ヒュームがもっとも脂ののりきった時期に著わしたエッセイ集.勢力均衡・王位継承・理想共和国などを論じた政治論と,商業・貨幣・利子・貿易・租税などをめぐる経済論とからなる.いずれのエッセイも政治・社会・歴史に対する鋭利な洞察の結実であり,社会的現実を最高の関心事とする近代的哲学のあり方を示している.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
16
哲学者デビット・ヒュームによる政治や経済についての時事問題を論じたエッセイ集。一般的には『政治論集』として知られているものであるが、訳者の特段の思い入れがあって『市民の国について』というタイトルになっている。上巻は主に政治問題について、下巻は主に経済問題についてのエッセイとなっている。ですます調で訳が非常によく、岩波文庫の古い訳の中では非常に読みやすくもあった。 以下、内容。→2022/11/02
壱萬参仟縁
15
アダム・スミスの師匠。1752年初出。市民とは、平等、対等が基本原則の社会成員(9頁)。「政治を科学に高めるために」(208頁~)。「政府の第一原理について」(226頁~)。権利には二種。一つは権力に対する権利。いま一つは財産に対する権利(227頁)。2013/12/11
R
2
哲学者が政治や経済,社会についての考察を展開していく論を何とか追いかけた。学問が分化する前には知性のある人たちがこのようにマルチに活躍していたのだろう。哲学者が当時の社会事情と切り離しては考えられない。2022/04/03
ぱぴ
1
人間社会は情念と利害得失関係から発生しており、権威と慣習には早々逆らえるものではないのだと根本から理解させられた。 物事の本質を突いた、皮肉たっぷりに表現された文章は、理解できると思わず「参りました」と声が出てしまった。2022/04/24
み
0
ヒュームの政治論集。勢力均衡や原始契約など、論稿が連なる。「政治を科学に高めるために」という文章もあるが、果たして現在の政治学はどこまで科学的になれたのでしょうか、と自問したくなった。2012/08/20