出版社内容情報
「私が描くのは私である」と言いきったモンテーニュとは対照的に,ベーコン(一五六一―一六二六)は自己を直接に語ろうとはしなかった.学問・恋愛・富・運命などどんなテーマをとりあげても論議の仕方が私的ではなく常に社会や国家が視野におかれているからだ.けれども二人が二人とも骨太なルネサンス人であることに変りはない.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
11
1597-1625年。59のテーマ。関心のあるものだけ拾い読みも可能。「復讐は一種の野蛮な正義である」(30頁)。「順境は悪徳を最もよく表わし、逆境は美徳を最もよく表わす」(33頁)。「お節介で詮索好きな人は、嫉妬深い」(45頁)。そうかもな。権威の弊害は、延引、汚職、粗野、迎合(57頁)。上層階級における窮乏や破産状態が下層階級の欠乏や困窮と結びつくならば、危険は切迫していて重大である(72頁)。日本も上の輩がヤバくなると崩れるだろうか。人と人の最大の信頼は、忠告すること(95頁)。そこまで言える関係。2014/01/31
きりぱい
9
「両親が子供に小遣いを出ししぶるのは、有害な間違いである。」がーん!「両親は早いうちに子供に就かせたいと思う職業や進路を選ぶがよい。・・子供の気性を尊重する余り、子供が最もしたいと思うものに従事させるのが最も良いだろう、と考えたりしないことである。」がーんがーん!だけれど、「(書物は)信じて丸呑みするために読むな。・・熟考し熟慮するために読むがよい。」ともある。人生の様々な状況や感情の問題を鋭くとらえた善処法が、歴史のエピソードを交えてつらつらと。2010/12/23
DonaldTrump
6
人生のあらゆる面の真実・賢い対処術を網羅した、驚くべき書物! 論語や君主論を読んだら、次はこの本を読むべし!2011/07/25
Fumoh
3
ルネサンス期、イギリスの政界で活躍した哲学者、フランシス・ベーコンの随想集で、モンテーニュの「エセー」の形式をイメージしたもの。ベーコンはイギリス経験主義の祖とも呼ばれるが、これはアリストテレスの「演繹法(真とされる命題から他を推理する法)」を批判して、経験や実験ファーストに考えて、そこから真理を導き出す「帰納法」を説いたから。ただしそれを大っぴらに述べるのは中・後期の作となり、この随想集は初版が1597年と、ベーコンが38歳の頃に書かれたもので、著作としては初期のものに当たる。当時ベーコンは、政界で2025/01/02
讃壽鐵朗
3
現代人に参考となるものは少ないようだ2021/01/29