岩波文庫
神学・政治論〈上巻〉聖書の批判と言論の自由

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  • サイズ 文庫判/ページ数 290p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003361511
  • NDC分類 135.2
  • Cコード C0110

出版社内容情報

「エチカ」と並ぶスピノザの代表的著作.生前に公刊した唯一の書である.神学者たちの諸偏見を指摘し,哲学と神学の分離を説き,教会に対する国家の優位性を規定し,思想と言論の自由を主張し,かつそれらの所説の前提として聖書批判を試みている.1670年に出版されるやその革命的内容のためたちまち論難の的となった.

内容説明

カルヴァン派による国家の宗教政策への介入や言論の自由への弾圧に抗して、思考と言論の自由を論じた書。

目次

第1章 預言について
第2章 預言者について
第3章 ヘブライ人たちの召命について。又預言の賜物はヘブライ人たちにのみ特有であったかどうかについて
第4章 神の法について
第5章 諸々の祭式が制定された理由について。又史的物語への信憑について、換言すればさうした信憑が何故に、又如何なる人々のために必要であるかについて
第6章 奇蹟について
第7章 聖書の解釈について

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

karatte

13
再読。あとこれ光文社の古典新訳文庫でも出てるのね……そっちもいずれ買わねば。二度目だからか上野修『デカルト、ホッブズ、スピノザ』を読んだ後だからか、旧字旧仮名にも拘らず比較的容易に内容を理解できた(多分後者)。この上巻はほとんど神学(を哲学から分離する)部分に記述が費やされ、政治論部分は終盤にちょろっと出てくる程度だが、聖書自身からのみ聖書を解釈するという堅固な意思表明の下、細部に及ぶ引用の執拗さや反対意見に対する周到な論駁など、のっけからテンションは高い。2019/05/05

素人

5
聖書の語句の意味を多数の用例から帰納的に類推していくやり方が、まるで清朝の考証学者のようだった。「神の霊」という表現に関する議論(第1章)など特に鮮やかで、旧約聖書に特別な関心がない人間でもちょっと感動する。ただ、クリスチャンでもない現代の日本人が本書を読むことに意義を見出すのは難しい気がする。『エチカ』についてはそんな感じはしないのだが。とりあえず下巻も読んでみる。2023/04/27

roughfractus02

4
宗教において真と信は両立しうるか? 否、その問いこそ宗教に混乱をもたらし争いを生む源なのである。宗教は信のみにおいて成り立つはずであり、預言者は真なる未来を語らなくてよいし、真を知らずともよい。彼には人々に神への畏敬と隷従を促す役割がある。そう著者が語った時、最も寛容な共和国の最も自由を語るデカルト主義者たちがこの書を禁書にするように求めたという。宗教と共和国政治のバランスを考えた著者は、哲学的理性を宗教に導入しようとした自由な人々の怒りを買いながら、徹底した聖書解釈によって政治の核心へと踏み込んで行く。2017/02/17

karatte

1
(凡例より抜粋。原文は旧仮名遣い)本書はスピノザがその生涯を通じ自ら進んで世に問うた唯一の書であり、彼に対する生前並びに死後数十年間の毀誉褒貶は一に係って本書に起因する。彼が生前ついに「エチカ」を出版することが出来なかったのも本書が世に捲き起こした囂々たる論難に妨げられてであった。

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