出版社内容情報
「神あり」に賭けることの合理性を、確率論を用いて論証する「賭」の断章。だが、神を知ることと愛することとの隔たりは果てしなく大きい。理性で知るのではなく心で神を感じること。キリスト教護教論から真の信仰へ。他に、有名な「クレオパトラの鼻」、「幾何学の精神と繊細の精神の相違」等の断章を収録。
内容説明
「神あり」に賭けることの合理性を確率論を用いて論証する「賭」の断章。だが、神を知ることと愛することとの隔たりは果てしなく大きい。理性で知るのではなく、心で神を感じること。キリスト教護教論から真の信仰へ。有名な「クレオパトラの鼻」、「幾何学の精神と繊細の精神の相違」等の断章も本巻に収録。
目次
第1部 「写本」によって伝えられる“パンセ”(承前)(目次にそって配列されていないファイル(断章三八三~九一八)(総覧;護教論的論説一 賭;護教論的論説二 宗教的無関心の反駁;護教論的論説二の二;護教論的論説三 堕落と贖い;ユダヤ人の状態;堕落;預言;預言、ユダヤ人の状態など;表徴 ほか))
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
パンセの中巻です。この巻は比較的キリスト教関連の語義解釈部分が多くかなり読むのに時間がかかりました。最初のほうに例の「クレオパトラの鼻」の言葉が出てきたりします。雑纂篇は比較的キリスト教の部分は少ないので結構楽しめました。それにしても訳者には頭が下がります。わかりやすい言葉で昔のパンセとはかなり違う気がします。2018/03/07
ラウリスタ~
9
中巻に収められているのは、写本によって伝えられた「パンセ」のうち、目次にそって配列されていないもの。だからか、上巻では非常に興味深く読めたのだけれども、こちらではメモの束を読まされている感覚。有名な賭けの断章や、幾何学の精神と繊細の精神などもこちらにあるのだが、全体的に如何に、キリスト教(のカトリックの、ジャンセニスト)正しいのか、という話題に収斂するから、興味を保ち難い。膨大な注は、飛ばし読んだ。2015/11/21
CCC
5
有名な賭けがこの中巻で出てきて「お、これかー」となる。何度考えても、偽りの神を信じるものを無限に罰するような神が想定されていない事が引っかかる。誰でも思いつく事のような気がするが、フォローがないのはどうしたことか。それから、奇跡がキリスト教の正しさを証明しているという主張がしつこく繰り返されているけれど、この人の奇跡の定義は何なんだろうという事と、なぜ奇跡の存在を確信出来ると考えたのか、その辺りが読み取れず、理解に苦しんでいます。2016/08/18
ブルーツ・リー
4
中巻になるも、やはりキリスト教に対する、パスカルの思想がとにかく多い感じ。 パスカル自身、どういった哲学を構成する積りだったのだろうか。 あるいは、哲学書としてこの本を読んで居るけれど、もしかしたら、神学とか、宗教道徳論とか、少し違った視野で読んだ方が、あるいはパスカルの思想の本質に近づけるのかも知れない。 パスカル自身が哲学書ないし宗教書を発行してくれなかったから、何とも言えないが、かなり、神学なり、宗教道徳と言った面に近い思想書を発表しようとしていたのではないかと思われます。2019/10/19
ソングライン
4
聖書、モンテーニュのエセーからの引用が多く含まれる断想の中には、パスカルのキリスト教への真意を読み取ることが難しいものも存在します。しかし、全員が死刑宣告を受けている人間にとって、神の存在、永遠の魂の存在を信じることは唯一の救いであり、当然の途であるとの作者の考えは理解できました。下巻にすすみます。2017/07/26