出版社内容情報
前四○一年,ペルシアのキュロス王子は兄の王位を奪うべく長駆内陸に進攻するが,バビロンを目前にして戦死,敵中にとり残されたギリシア人傭兵一万数千の六千キロに及ぶ脱出行が始まる.従軍した著者クセノポンの見事な采配により,雪深いアルメニア山中の難行軍など幾多の苦難を乗り越え,ギリシア兵は故国をめざす…….
内容説明
前401年、ペルシアのキュロス王子は兄の王位を奪うべく長駆内陸に進攻するが、バビロンを目前にして戦死、敵中にとり残されたギリシア人傭兵1万数千の6000キロに及ぶ脱出行が始まる。従軍した著者クセノポンの見事な采配により、雪深いアルメニア山中の難行軍など幾多の苦難を乗り越え、ギリシア兵は故国をめざす…。
目次
1 サルデイスからクナクサまで
2 クナクサからザパタス河まで
3 ザパタス河からカルドゥコイ人の国まで
4 カルドゥコイ人、アルメニア人、タオコイ人、カリュベス人、スキュテノイ人、マクロネス人、コルキス人等の国を経てトラペズスに到着するまで
5 トラペズスからコテュオラまで
6 コテュオラからクリュソポリスまで
7 ビュザンティオン。トラキアのセウテス王の許でのこと。ギリシア軍、ペルガモンでティブロンの部隊に加わる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
54
紀元前401年のペルシア帝国で父の死をきっかけに兄と王位を争ったキュロス王子はあっけなく戦死してしまう。残されたギリシア人の傭兵1万数千人は敵中に取り残される形になり、故国のポリスに帰還すべく6000キロの逃避行をします。そんな中、次第に指揮官役を担うことになる著者のクセノポンはペルシア帝国からはだまし討ちに遭ったり、食料がなくなると近くの村を略奪したり、給料が未払いとなった兵士たちをなだめたりしながら、弁論で説得していく様子が語られていきます。楽しく読めるだけでなく、弁論好きな人には参考になる本です。2020/01/10
syaori
53
事の始まりはペルシア王位を巡る争いで、これに参加したギリシア傭兵部隊が本書の中心。この本は敵の只中に取り残された彼らの脱出行の記録で、この手に汗握る行軍の指揮を取ったのが作者クセノポン。道中は、敵や通過する地域の諸民族との戦いや交渉に加え、部隊内の対立や兵士たち不平不満も噴出し、大部隊をまとめる指揮官の苦労が忍ばれます。しかし、どんな事態にも味方を鼓舞し、道理と雄弁で乗り越えてゆくクセノポンの姿には爽快感がありました。また、常に兵士の利益を考え指揮を取る彼に、リーダーの一つの理想像を見たようにも思います。2020/02/10
ロッキー
28
2400年程前に書かれたペルシア王家の戦いに敗れた後のギリシア人傭兵約1万人の脱出行。大王討伐の行軍の際「キュロスに騙されているのではないか?」と気づいた兵士たち。脱出行もクセノポンの弁舌に言いくるめられる兵士たち。なんだか気の毒です。重曹歩兵なんて行軍は更に辛かろうに。行軍では先頭にして兵士がバラバラにならぬよう管理されていたが、クセノポンに愚痴をこぼせば仲間からボコられる始末で…。常に付き纏う食糧の調達方法もあり。それにしてもクセノポンはソクラテスの弟子だけあって弁論に長けているというか、もう長い…。2011/09/13
俊
22
アナバシスとは上りという意味。ペルシアの内乱にキュロス王子側として参戦したギリシア傭兵隊は、王子が戦死したため敵地に孤立する。故郷ギリシアは遥か遠く、物資もなく、さらには敵の謀略で指揮官達をも失う。そんな危機的状況の中、新指揮官クセノポンは脱出を開始するが…といったストーリー。優れた指導者が率いた軍隊は奇跡のようなことをやってのけるという良い見本。この困難な脱出行の後、傭兵たちはそれぞれの故郷に帰った…のではなく、クセノポン以外はそのまま次なる戦いに向かったらしい。どれだけタフなんだろうか(笑)。2014/09/10
アポトキシン
15
古代ギリシャ人が書いた戦記。ペルシア王の弟のキュロスと兄で王のアルタせルクセスが対立しキュロス軍が王の軍を攻めるが、早々とキュロスは戦死し物語から消えてしまう。その後キュロスの遺志を継いだ者たちが王を倒す為に6000km以上進軍する。王を攻めるまでの話のため、中だるみも多く読むのに時間がかかった。2018/01/09