岩波文庫<br> パイドン―魂の不死について

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岩波文庫
パイドン―魂の不死について

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003360224
  • NDC分類 131.3
  • Cコード C0110

出版社内容情報

人間のうちにあってわれわれを支配し,イデアを把握する力を持つ魂は,永遠不滅のイデアの世界と同族のものである.死は魂の消滅ではなく,人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である-ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話.『国家』へと続くプラトン中期の代表作.

内容説明

人間のうちにあってわれわれを支配し、イデアを把握する力を持つ魂は、永遠不滅のイデアの世界と同族のものである。死は魂の消滅ではなく、人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である―ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話。『国家』へと続くプラトン中期の代表作。

目次

1 序曲(五七A一‐五九C七)
2 死に対するソクラテスの態度(五九C八‐七〇C三)(ソクラテスの夢―ムーシケーをせよ(五九C八‐六一C一)
自殺禁止論―人間は神々の所有物である(六一C二‐六三E七)
哲学者は死を恐れない。死とは魂と肉体との分離であり、哲学者は魂そのものになること、すなわち、死ぬことの練習をしている者であるのだから(六三E八‐六九E五) ほか)
3 霊魂不滅の証明(七〇C四‐一〇七B一〇)(生成の循環的構造による証明。生から死へ、死から生へ(七〇C四‐七二E二)
想起説による証明。イデアの認識は想起である。故に、人は誕生以前にイデアを見ていたのでなければならない(七二E三‐七七A五)
さらに強力な証明へのケベスの要求(七七A六‐七八B三) ほか)
4 神話―死後の裁きとあの世の物語(一〇七C一‐一一五A八)
5 終曲―ソクラテスの死(一一五B一‐一一八A一七)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

129
処刑執行日を迎えたソクラテスがシミアス、ケベスと「魂」についての問答・対話を展開する。倫理的な徳の認識と実践に対するソクラテスの問いから、永遠不変に自己同一を保つ実在としてのイデアを定立化した意味で重要な作品。『弁明』では死に対して不可知論的な立場を取っていたソクラテスだが、ここでは積極的に魂の不滅の証明に情熱を注いでおり、「哲学のもたらす解放と浄化」に対する著者の強い信念を感じられる。熱と冷、偶数と奇数などの反対概念から発展する仮説演繹法的論究の奇抜な切り口や、イデア論を踏まえた独自の宇宙論もユニーク。2021/09/28

イプシロン

50
宗教にせよ哲学にせよ「いかによく生きるべきか」を問うものであるが、そこを誤解して書物が読まれていることは嘆かわしい。本書もきちんと読めば哲学とは「いかによく生きるべきか」という問いにそれぞれが答えを見出す学問であることは明瞭だが、プラトン=イデア論、つまり魂の不死という論理が注目され、それが信じられるのか、られないのかという議論に陥る読み方をされているようだ。そもそも魂の不死を語らざるを得なかった流れを読み落としているのだろう。本作の冒頭は自殺論からはじまる。自殺はしてはいけないこと。ではソクラテスは、2019/10/21

松本直哉

38
肉体労働はすべて奴隷にさせてもっぱら学問に打ちこむ哲学者だからこそ、このように肉体を軽蔑することができるのかもしれない。目も鼻も口も耳ももたず幸せに生きていた渾沌の神を見て、おせっかいな友人たちが穴をあけたため神は死んでしまったという『荘子』の逸話を思い出した。目も見えず耳も聞こえない方が幸せであり、見えたり聞こえたりするから思い惑う。しかしそれが人間の条件なのだから、哲学者のように逃げることはできない。むしろ、はかなくうつろう光と影の瞬間の中にこそ、永遠なるものが宿るということはできないだろうか。2022/04/12

rigmarole

30
印象度A-。大前提であるイデアの存在自体については結局納得できなかったものの、魂の不滅を信じることで幸せになり、徳性を高めることで解脱して冥界の天国に行けるというのであれば、本書の主張には、少なくとも宗教的な価値はあると言えるでしょう。命題の真偽や証明の妥当性はともかく、人に理屈を呑み込ませるためには、例示や比喩を用いて多くの言葉を重ねる必要があるということを教わりました。主題の一貫性、議論の明快さ、物語としての美しさからして、プラトンの中でも白眉の一冊です。否、私としては『パイドロス』の次くらいか。2019/11/27

ホームズ

29
ソクラテスの死の直前にかわされた議論。今まで読んだものの中で1番わかりやすく読んでいて興奮した作品。やはりもっと色んな本を読み芸術作品を鑑賞したりして成長したいな。2013/08/28

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