岩波文庫
法律〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 520,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003360217
  • NDC分類 131.3
  • Cコード C0110

出版社内容情報

対話の舞台は地中海クレテ島.ゼウスの社への参詣の道すがら,「アテナイからの客人」ら三人が国制と法律について論じる.最善の国家についての理念を提示した『国家』に対し,本書では「現実にあるべき国家」の具体的な法律・制度全般について自由で大胆な提案を行う.プラトン(前四二七―三四七)最晩年の著作で最大の長篇.

内容説明

「女性に対しても男性に対するのとまったく同じことが要求され、同じ訓練をうけるべきだとされるでしょう」―。本巻では、子どもの養育と教育、経済生活全般、各種の犯罪と刑罰など、「新しく建設される国家」の様々な法律が論じられる。中でも不敬罪を主題とした第10巻はプラトンの「神学論」として著名。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

115
下巻は教育、経済、犯罪と刑罰などについて法律の概要・類例を論じる。音楽や演劇など芸術表現への制限から厳格で、個性・節度との相剋を感じる。ここでの不正とは魂の病気で国土を汚すもの、懲罰は善き人間に変える制度。その結果、最善の対処を怠れば周囲まで容易に罪人が生まれ、動物も無生物も裁判にかけて国土の外に投げ棄てるシュールな光景まで発生する。法的仲介役の裁量が大きく寄与しそう。知性や年長者への不敬が殺人罪に匹敵する重罪なのも目につく。弁論術批判を込めた不当弁護の死刑や不運な子供や奴隷の絶対的な「所有権」は嗜虐的。2022/10/18

壱萬参仟縁

30
アテナイからの客人:国家は個人と同じように、善く生きなければならないということです。しかし幸福に生きる人びとにとって第一の必要条件は、自分自身に対して悪をなさず、他人によって悪をこうむらいないということです(109頁)。人が不正行為を犯したときには、法律は、あたえた損害の賠償をさせたうえに、その人を教えたり強制したりしながら、二度と再びそのようなことを自らすすんでは敢えて行なわないようにさせるか、そうすることが以前と比べてはるかに少なくなるようにさせるべきです(185頁)。2018/06/02

CCC

12
下巻だと女性の権利を認める部分も出てくるんですね。てっきりそういう要素はなくなったのかと、上巻読んだ段階で早とちりしてしまった。反省。下巻では第10巻の神学っぽいところや、トマス・モアの『ユートピア』を思わせる部分、儲ける事への厳しい視線などが注意を引いた。後払いの禁止、商品価格の固定化に見られる経済センスの怪しさは、実際の国家運営では致命的になりそう。少し前に『国家』で読めなかった音楽についての話が読めたのは嬉しい誤算だった。『墨子』と比較したかったのだが、浪費と情操教育と、批判理由はまるで違った。2018/11/29

いとう・しんご

8
本書の主張は「国家」の延長上にありますが、実際に各地で国政に参画しているお弟子さん達のために、具体的に法律に書き下ろして見せた、というところでしょう。当時のポリスは数年おきに干戈を交えていて、そのことが常時臨戦態勢の全体主義国家(現在の南北朝鮮のような)とすべきであるという本書の主張の背景にあるのだと思います。厳しい思想と言論の統制、毎月1回の全市民による軍事教練や、旧ソ連が陥ったような監視者を誰が監視するか、というジレンマを政教一致で解決しようとするのも今日的には受け入れがたいでしょう。2024/06/17

chanvesa

8
プラトンの描く国家では死刑を多用されるが、死刑の是非を問題視するのではなく、国民の幸福とそのための秩序を維持する制度としていることに強い意志を感じる。薬物や呪いによる殺人に対して厳格な規定を用いているのが興味深い。また第10章の神の存在や不敬罪については中途半端な印象を感じる。文句を言うのはおこがましいけど、本書の上下巻ともに、論点が散らかっているというか盛りだくさん過ぎて、質的な重量感を見出だせなかった。2014/03/15

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