出版社内容情報
原題「シンポシオン」とは「一緒に飲む」というほどの意味.一堂に会した人々が酒盃を重ねつつ興にまかせて次々とエロス(愛)讃美の演説を試みる.談論風発,最後にソクラテスが立ってエロスは肉体の美から精神の美,更に美そのものへの渇望すなわちフィロソフィア(知恵の愛)にまで高まると説く.プラトン対話篇中の最大傑作.
内容説明
原題の「シンポシオン」とは「一緒に飲む」というほどの意味。一堂に会した人々がワインの杯を重ねつつ次々にエロス(愛)讃美の演説を試みる。最後に立ったソクラテスが、エロスは肉体の美から精神の美、さらには美そのものへの渇望すなわちフィロソフィア(知恵の愛)にまで高まると説く。さながら1篇の戯曲を思わせるプラトン対話篇中の白眉。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
357
古代ギリシャのシュンポシオンとはこのようなものであったのか。何人かが一堂に会してお酒を飲みながらのエロス談義が展開される。最初に口火を切るのは、この日のテーマの提案者であり、座長を務めるパイドロス。エロスは最も古くから存在し最高の道徳原理であるとする。次いではパウサニアス。彼は善きエロスと低俗なエロスがあるが、讃えるべきは善きエロス、すなわち少年愛であるとする。3人目はエリュクシマコス。彼はエロスを宇宙の支配原理であるという。そして、アリストパネス。彼は完全性への欲求こそがエロスの本質であるとする。⇒2024/08/01
のっち♬
139
アガトンが主催する饗宴に集まった友人たちがエロス讃美の演説を行なっていく。それぞれが自身の背景に則したアプローチで試みており、中でも自然哲学者、悲劇詩人は順当に議論を深化させてソクラテスへ繋げている。彼の持ち出すディオティマの言説が本書の焦点。エロスを様々な中間的性質を持つとし、生殖欲求に着眼しながら教育ひいては人生の生き甲斐に繋げるこの過程では、著者のイデアに対する見解も一段と明瞭化している。最後のアルキビヤデスの演説はソクラテスに対する熱烈な讃美が現れていて、著者のエロスのルーツはここにあると感じた。2022/01/19
ケイ
126
ギリシャ、アテネの夜、悲劇詩人アガトン宅で行われた、クリネに横たわり、ワインを手に行われたフィロスト【知識人】達の饗宴。彼らはエロス神について語る。それは、少年愛についてのもの。そして、それは少年から見れば身を売るような愛。身を売る理由は、地位やお金かもしくは知のため徳のためか。何が正しく何が正しくないか。それは根本的におかしいと思える語りもあるが、ソクラテスの話によりその重要性を失う。しかし、そのソクラテスもアルキビアデスにより…。哲学として読めばとても深いが、人間関係の物語としてたのしむこともできる。2016/04/07
Aya Murakami
94
100分de名著で紹介された本。 ギリシアでは食物は体の栄養だけではなく心の栄養とも考えられ、したがって食事中に議論するというのはごく自然な発想だった…。黙って食事するのが美徳の日本とは正反対…。そういえば中国でも食事中に話をするのはマナーと考えられていますね。男だらけの食事会と討論…。そそられますね。 エロス…、イデアへの愛…。神と神霊との関係も交えて小難しいことが書かれていましたが…。おそらく真理と人間を結ぶメディアとかんがえてよさそうです。知的好奇心もエロスの含まれるのでしょうか?2018/12/16
syaori
72
古代ギリシャの祝宴の雰囲気を味える対話篇。ここで語られるのは「愛の道」。身近にある個々の美から出発して、美しい(善い)職業活動へ、学問へ、そして至高の「美そのもの」へと、実態的なものから理念的な高みへ至る上昇運動が語られます。この「美そのもの」とは、善や智恵などを含む、地上存在についての真理ともいうべきもので、これを掴んでこそ生きた甲斐もあるのだ、また自分が辿ったその道へ若い美しい魂を導くのだと語るソクラテスの姿はそのまま作者と重なり、アカデメイア創設から間もないプラトンの洋々たる意気を感じる一冊でした。2020/12/29
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- 和書
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