出版社内容情報
世界のTANGE──。国際的建築家として丹下健三の名を知らしめたのは、その作品のみならず、彼の論説と思想であった。人間と建築にたいする深い洞察と志。「美しきもののみ機能的である」との言葉に象徴される独自の美意識。建築の化身と呼ばれた不世出の建築家による重要論考を集成する。二巻構成のうちの建築論篇。
内容説明
世界のTANGE。国際的な建築家として丹下健三の名を世に知らしめたのは、その作品のみならず、彼の論説と思想であった。人間と建築にたいする深い洞察と志。「美しきもののみ機能的である」との言葉に象徴される独自の美意識。建築の化身と呼ばれた不世出の建築家による重要論考を集成する。2巻構成のうちの建築論篇。
目次
1 建築家の構想力について(MICHELANGELO頌―Le Corbusier論への序説として;現在日本において近代建築をいかに理解するか―伝統の創造のために;現代建築の創造のために;現代建築の創造と日本建築の伝統 ほか)
2 建築の設計について(日本の建築家―その内部の現実と外部の現実;おぼえがき―建築設計家として民衆をどう把握するか;建築家は民衆をどう把えるか)
3 建築の美について(インダストリアル デザインと建築―自由な娘たち;芸術の定着と統合について―三人展を機会に;グロピウスの残した余韻 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
46
最初の一篇でまずぶっとぶ。表題のMICHELANGELOが誰かはまあわかるとして、ルネサンスの巨人に並び称されてるル・コルブーゼって誰やねん、と。。。コルビジェだと気づくまでに二回読みました。私の修論にもだいぶ引用したシェリングの『人間的自由の本質』とかも出てくるので、その辺から読み解けないかと頑張ってみましたが、正解はこの一篇は読み飛ばすことだったかも。あとの論考も難解ですが、最初のものよりはとっつきやすいです。この間、磯崎新の本読みましたが、その建築論の原型みたいなものがおぼろげに拾えた気がします。2024/11/20
鵐窟庵
8
70年前からの丹下健三の論考の再編。現在読んでも、建築をめぐる社会や市民との関係、美学的な領域の内外の対立、といった構造が今も変わらない普遍的な命題であることが分かる。当時の丹下健三は敗戦の焦土から、国土を一から作り直す国家のための建築家とばかり伝えられるが、論考を読み直すと、矛盾や対立をいかに乗り越えていくかと言った問題意識を常に持っていたこと、それが建築作品で現れていたことが理解される。当時も多くの建築的世論の矛盾があったに違いないが、後代の歴史家により書き換えられただろう点との対比も浮かび上がった。2021/08/01
m
3
意気込んで読んでみたもののさっぱりわからなかった。ミケランジェロや小堀遠州の名前が出てきて親近感。東京カテドラルは雰囲気が好きなのでまた行きたいな。「美しきもののみ機能的である」。2023/01/21
十文字
3
1950年代当時の日本における建築家および建設従事者の処遇が興味深い。 あと、”美しきもののみ機能的である”。2022/08/12
yokkoishotaro
2
大変興味深かった。特に、内部機能と外部機能は、私的尺度と社会的尺度が関連ずけられていて、同じような問題意識を持っていたことに驚いた。そして、この対比からピロティの議論に進んでいくことはとても興奮した。あわせて、民衆をどのように捉えていくかという論考も大変参考になった。2023/03/15