出版社内容情報
生誕150年を迎える漱石は、多くの名作を残した。特に『坊っちゃん』は数多くの読者に愛読され、「国民文学」の代名詞ともいえる小説である.この作品を,日本漫画の創立者、近藤浩一路が漫画化している.坊っちゃんの活躍、登場人物とのやりとりが、諧謔味あふれる絶妙な漫画となって、存分に楽しませてくれる。(解説=清水勲)
内容説明
漱石の『坊っちゃん』は多くの読者に愛読され、「国民文学」の代名詞ともいえる小説である。この名作を、近代日本漫画の開拓者・近藤浩一路が飄逸にして諧謔味溢れる漫画としている。坊っちゃんの活躍が、画と文を通し存分に楽しむことができる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
漱石の「坊っちゃん」の漫画版です。私はまた最近漱石の本が出されているので新たに書かれたのかと思いましたら昔の本の復刻版なのですね。見開きで右側に話の簡単な内容、左側に白黒の漫画で滑稽な感じが出ています。解説にこの著者の経歴や当時の状況などが詳しく掲載されていて参考になります。来月は「猫」も出るようです。2017/01/26
藤月はな(灯れ松明の火)
75
『坊ちゃん』は小学生の時に弟が読むのを放り出した岩波少年文庫版を代わりに読んで以来でした。戦前には、あらすじだけで展開する漫画版もあったんですね~。しかし、今、読んでみると坊ちゃんは江戸っ子だからか田舎者を馬鹿にしたり、食べ物を粗末にしたり、うらなりの為というよりも自分の建前ばかりな世の中のモヤモヤを晴らすためにポカスカ、やっつけていたりと何だか無茶苦茶な人だと思うのは、私が擦れっ枯らしの大人になったからだろうか?夏目漱石の松江への赴任時代のエピソード(天麩羅密告事件など)も盛り込まれていてニヤリ。2017/02/10
古古古古古米そっくりおじさん・寺
63
何だか嬉しい。夏目漱石生誕150年のお陰でこんな本が復刊した。大正7年の漫画である。漫画と言っても今のコミックではない。左ページに1コマ漫画、右ページには近藤浩一路による原作のあらすじ。このあらすじ文に妙な味がある。字数が少なくアッサリ。この漫画も大正時代のヘタウマといった味わい。近藤浩一路は後に日本画家として大成するので下手な訳はないのだが(笑)。私は戦前の娯楽作品を見るのが好きだ。我々の祖父母の世代がこの本を退屈しのぎに寝そべって読んで楽しんでいたのだと想像すると愉快である。私もその様に楽しんだ。2017/01/27
Shoji
62
著者の近藤浩一路という方を初めて知りました。見開きの右ページに物語を、左ページに象徴的な漫画が描かれています。「漫画漫文」と言うそうですが、たいへん味わい深いものです。巻末の略年譜によると、明治生まれの方で、この『漫画 坊っちゃん』の発行は大正七年と書かれていました。そのアーティスティックな効果は現代でも(現代でこそ)斬新で興味深い物でした。物語の方は、再読再読なので坊っちゃんが赤シャツ懲らしめて帰京して清と再会。気持ちよく読了。2017/05/05
退院した雨巫女。
15
《私-図書館》坊っちゃんの絵本って感じ。へたうまな味わいの本。この作者の別の作品も気になるなあ。2017/05/21