出版社内容情報
中世の巡礼者たちの歩んだ道をたどり数々の聖堂・聖跡を案内しながら,建築・彫刻・絵画と様々な造型的表現をもつキリスト教美術とは何かということを,フランスの美術史家マール(一八六二―一九五四)が平明に解いた名著.ヨーロッパ文化および美術の研究に必須の書である.詳細な訳注と多数の図版を加えた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きくらげ
4
下巻で触れる14世紀以降では、表現が激情的になっていく。中世では死は復活を待つ平静なものとして表現されていたが、その末期にはペストを経て骸骨やミイラ化した屍体などの直接的なイメージが「死の舞踏」などで描かれるようになった。またルネサンス以降は宗教改革へのカウンターとして、聖母信仰や殉教聖人が図像化された。殉教や法悦の場面なども教会分離による信仰の危機に応じて取り入れられた。フランス人としての自国よいしょが散見されたり、中世志向の強さがあるなど偏りはあるが、それでも一読する価値はあるなと。2024/10/05
moi
3
学術書だが、詩情があって気持ちのよい文章。美術を研究する立場にも、それを読みとくための感性が必要であると感じた。2020/05/20
OKKO (o▽n)v 終活中
3
(書きかけ つづく)最終章「トレント公会議以降の宗教芸術」 2018/01/21
Francis
2
下巻は14世紀以降のキリスト教美術について記述。著者の図像学に関する知識により、美術作品がどのような意味を持っているかが説き明かされていく。当時のキリスト教、特にカトリックの信仰がどのようなものであったかも知ることが出来る。上巻での固有名詞のラテン語風の翻訳は払拭され、一般的に使われている用法に統一が図られている点も良い。2013/10/30
鮎川玲治
0
宗教改革に対抗するカトリック教会側の立場を反映した美術上の変化、また寓意人物像や抽象概念の擬人化などについての章が興味深い。チェーザレ・リーパの『イコノロギヤ』は是非とも全編通して一読してみたい。しかしなぜヴェルサイユ庭園の造園者は「胆汁質」の擬人化像などを配置しようと思ったのか…2015/03/17
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