内容説明
江戸の町の実相を記録した歴史実録書。中巻には、山の手と下町でちがう寺子屋をはじめ、秘密結社的存在ともいうべき虚無僧、富籤興行、吉原、岡場所、娼妓、若衆など社会・風俗に関するもの、江戸城年始の儀礼を記した年始登城、下馬評、礼服、駕籠、乗物など武家社会に関するものを収録する。詳細な注釈を付す。
目次
社会と風俗(寺子屋;三拾三間堂の由緒(続編)
勧進能
富籤興行
瞽盲の社会 ほか)
江戸城と武家社会(年始登城;二十八日;城中の御能;下馬評;礼服 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
34
社会と風俗編が気になるので、中巻から拝借。寺子屋とは、幕府時代の小学校なり(26頁)。その入学は、年齢定めなし。早きは5歳なれど、普通のものは8,9歳よりするが多し。退学は男子12,3歳、女子は14,5歳を限りとし、就学年間は概して5か年が程と知るべし(39頁~)。吉原の遊郭:女郎の妊娠すること間々これなきにあらざりしが、かれらの夥伴(なかま)にて妊娠することを辱(はじ)とし、忌むこと甚だしく、ことに徳川時代には堕胎の森もさして厳逡ならざりしこととて、2016/04/05
Koning
24
中巻は社会と風俗ということで寺子屋から始まり富くじだのを扱って吉原、四宿だの岡場所だのをやって千代田のお城のお話しになるという寸法。詳細は下巻でって感じなんだけど、中巻も楽しいですわよ、奥様。ってことで。ほかの方も書いてる通りじじばばの記憶はやはり怪しかったかってのも目立つわけですが、それでもやはり楽しい。そこは間違いない。2019/02/10
シンドバッド
7
面白いの一言 本巻は社会風俗だけに余計興味津々だったこともあるが…。2015/05/10
大臣ぐサン
5
『朝野新聞』連載の徳川制度。中巻の目玉は何と言っても吉原遊郭。連載当時はまだ健在だった吉原遊郭だが、当時においても江戸時代の吉原への関心は高かったようで、本書の3分の1が吉原遊郭に割かれている。さらに岡場所や食売女、辻売女などの低級遊女へと話しは繋がっていき、性風俗への関心の高さが表れている。まだ幕末から20数年程しか経っておらず、歴史的にも地続きなのだが、江戸と明治とはそれほどまでに遠いものなのか。平成も29年になったが、昭和はまだそのあたりに漂ったままだ。2017/03/04
feodor
2
何年ぶりかの「徳川制度」。下馬評、のところで伝聞的あやしさも出て来た。勧進能・虚無僧・七坊主・若衆・吉原などの水商売・下馬評・時献上・乗り物・医官が納められる。虚無僧は普化宗という宗派の人々で、東福寺近隣の明暗寺がかつての中心であったとか。ただ、仙石騒動の結末などは随分wikipediaなどの記述とは違うようだった。鳥取藩の喬松丸については、本文中でも異論・反論が掲載されていた。全面的に信用できるわけではないが、細々とした話があり、江戸趣味的におもしろい。2016/04/06




