出版社内容情報
古来,その位置が謎につつまれた幻の湖ロプ・ノール.中央アジアの奥深くひそむこの大湖は,実は砂漠の中を渡り鳥のように一六〇〇年周期で南北に移動する湖なのである.この壮大な学説を提唱したヘディンが,自らの仮説を実地に検証し,長年の論争に決着をつけるべく旅立った念願の探検の記録.写真・スケッチをすべて収録.
内容説明
古来、その位置が謎につつまれた幻の湖ロプ・ノール。中央アジアの奥深くひそむこの大湖は、実は砂漠の中を渡り鳥のように1600年周期で南北に移動・交替する湖なのである。この壮大な学説を提唱したヘディンが、みずからの仮説を実地に検証し、長年の論争に決着をつけるべく旅立った念願の探検の記録。
目次
1 ロプ・ノール出発
2 舟旅第一日
3 探検隊サイ・チェケに集結
4 コンチェ・ダリヤ最後の日
5 クム・ダリヤに出てから
6 謎の砂漠に向かう
7 見知らぬ王女の墓へ
8 デルタの迷路で
9 ロプ・ノールへの旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
62
古来よりその存在が謎につつまれた幻の湖ロプ・ノール。タクラマカン砂漠の中を1600年周期で移動するという自らの学説を証明する為に行ったヘディンの探検記。前半のハイライトは失われた古都楼蘭近くで発掘された貴族の女性のミイラか。1000年の時を経て現れたその姿。全文筆者自身の挿し絵や探検時に撮影した写真が豊富に掲載されていて、当時の情景が非常にわかり易い。【追記】椎名さんの運命を変えた一冊でもあるらしい。子供の頃に読んで探検に目覚め。奥様ともこの本がきっかけで結婚したとか。2014/04/06
ソングライン
18
20世紀の始め、東西を結ぶシルクロードの古代遺跡楼蘭を発見したヘディン、そこには砂漠の中で姿を変える湖ロプ・ノールが存在しました。その水源として考えられたダリヤ川、しかしそれを確かめた者はありません。ダリヤ川をカヌーで下りロプ・ノールを目指すヘディンの新たな探検が始まります。簡潔な文章で綴られスケッチ、写真が満載の旅行記に引き込まれます。二千年の歳月を経て発見される王女のミイラ、時を超えるロマンに震えます。2022/11/30
tsubomi
10
2016.01.25-01.31:教科書で読んだロプ・ノールについての、実際に探検したスウェーデン人スヴェン・ヘディンの実録本。予想以上に写真やイラストが豊富で楽しめました。未知の世界へ踏み出す恐怖にも増して強い好奇心に突き動かされ、たびたび危険な目に遭いながらもロプ・ノール湖へ到達するまでが上巻。著者自らスケッチした画が写真よりもわかりやすく、特に途中で女性のミイラを発見したりする件はワクワクしました。文化的背景を異にする人々がチームとなって探検するためか、著者は優れた人間観察眼が養われている印象。2016/01/31
壱萬参仟縁
8
線画が適宜配置されており、見事な風景をイメージできる。今ではカスピ海なども狭くなってしまっているが、幻の湖の話。桜蘭の近くにあるようだ。英国湖水地方とはどう違うのか、ワーズワースを読むと比較したくなる。著者にとって羅針儀、時計、鉛筆が一番大切な道具(44ページ)。遊牧民の暮らし。砂漠が広がった中にある湖なら、それだけでオアシスの癒しが期待されるが、実際はどうか。スケッチから察するに、日本にはない風景であることは確か。賈逵(かき)は初めて知った。炊事テントで一人働く(196ページ)。さまよえる人に癒しの湖。2012/12/28
クボタ
6
地図と写真、イラストがあるので読みやすい。ロブ・ノールへのヘディンの探検は羨ましい限り。もう少し若ければこの地へ行ってみたいと思った。下巻が楽しみ。2016/02/19