出版社内容情報
一五七○年スペイン国王に提出された文書である本書は,同盟者とみなして迎え入れたスペイン人に裏切られて決起した父マンゴ・インガの事蹟と征服者スペイン人の不正行為を明らかにし,インカ帝国継承者としての自らの正統性を主張した生々しい証言録.対話と独白という形式で被征服者インカの内なる心性を語る貴重なドキュメント.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
63
インカの地を訪れたスペインの征服者は、はじめ見せた友好的態度を突如翻して、皇帝を捕らえる。大量の財宝と引き換えに解放されるも、スペイン人の再度の裏切りに憤慨した皇帝は、スペインへの反乱を決意する。敗北と後退を繰り返した皇帝は、臨終の床で息子にこう語った。「何があっても、あの連中を信じてはならない」と。本書は、反乱を率いる皇帝の息子が、スペインの不正と自らの正統を主張した証言録。スペインに対する反乱は四十年近く続くも、ついに鎮圧される。本書が伝えるのは、征服者に顧みられることのなかった、被征服者の声である。2023/12/16
金吾
17
スペインによるインカ侵略の様相がよくわかります。善意を帯びた無能な指揮官が民族にどのような影響力を与えるのかがよくわかります。2021/05/15
大道寺
7
征服者スペインによるインカ帝国皇帝アタワルパ処刑後のインカ族の反乱に至る経緯と反乱の結末について、反乱の指導者の子ティトゥ・クシ・ユパンキがスペイン国王に提出した報告書である。スペイン国王に自らの正当性を主張するための文書だから事実操作は色々あるようだが、インカ族自身が語った記録は興味深い。2017/04/29
まみよろ
3
なんでインカの反乱っていうタイトルなんですかね。スペイン人の悪逆無道とでも言ったらいいんじゃないですか2013/05/09
HYdaniel
2
アタワルパの死でインカ帝国は崩壊したものとてっきり思っていたが、内実はもっと複雑だった模様。スペイン人をビラコチャ(神)の使者と勘違いした悲劇。騙され続けた父王の抵抗を引き継いだのち、子王は最終的に和平を結び、キリスト教へ改宗し、王家の僅かな権益を守ろうとする。あまりに現実的な選択。しかし結局はその次の代で、インカ帝国は亡びる。大勢が決した後は、寂しい。2016/06/18
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- 和書
- 女王様と私 角川文庫