出版社内容情報
カエサル(シーザー)からドミティアヌス帝まで,帝政ローマに君臨した元首十二人の伝記集.著者(七〇頃―一三〇頃)は皇帝付きの秘書官.公文書のみならず,同時代の世評・諷刺・落書の類まで細大もらさず渉猟し,ふんだんに散りばめられた逸話は皇帝の知られざる個人生活にまで及ぶ.本邦初の完訳版.
内容説明
我が妹を妻とし、帝国資産をまたたく間に蕩尽したあげく自らを神と崇めよと命ずるカリグラ。権力を争って母を殺し、さらに首都に火を放って遠望する焔の美しさに恍惚とするネロ。簡潔直截に次々と繰りだされてゆく豊富な逸話の中から、放恣残虐の限りを尽す歴代ローマ皇帝たちの姿がなまなましく立ち現われてくる。
目次
第4巻 カリグラ
第5巻 クラウディウス
第6巻 ネロ
第7巻(ガルバ;オト;ウィテリウス)
第8巻(ウェスパシアヌス;ティトゥス;ドミティアヌス)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
49
下巻では、残忍な皇帝たちによる血腥い治世が続きます。独裁者として暴虐と放埓の限りを尽くしたカリグラやネロ、皇帝の地位を手に入れるや「私利私欲により残忍非道へ向かって早く堕落した」ドミティアヌス。濫費と掠奪と謀反と弑殺が繰り返される下巻だけでなく、上巻で紹介された3皇帝も含め、強大な権力を前に、高貴・謙遜・非道・怯懦と各様に振る舞う皇帝たちと、彼らをある時は支持しある時は打ち倒す移り気な大衆の織り成す滑稽な悲劇は、人の弱さや栄華の儚さだけでなく、人が生きるのに大切な様々なものを見せてくれたように思います。2019/06/26
mayumi
22
カリグラ、クラウディウス、ネロ、ガルバ、オト、ウィステリウス…どの皇帝も残虐で、悪と放蕩の限りを尽くし、読んでいて食傷気味に。ウェスパシアヌスとティトゥスでホッとするが、何故か良い行いをする皇帝は短命である。しかもこの皇帝伝、五賢帝まで描かれてない!ハドリアヌス好きなのに…。2018/07/25
ラウリスタ~
11
下はカリグラからドミティアヌスまでの九人の皇帝達について。上ほどに一人一人の皇帝について長く細かく語るってことはない。というのも、在位期間が短くなるし、それ以上にただ君臨するだけで何にも偉大な業績を残さぬまま殺される皇帝が多いから。時代が下るにつれてますます小粒になり、極悪さだけはしっかりと継承する。権力に推戴されるとその日から次の権力簒奪者に怯える日々。うーん、カリグラからネロやらを経て、五賢帝以前ってのはどうしようもなく退屈だな。対外的にはどうやら大した戦争もないようだし、とにかく権力争いに終止する。2013/09/30
BIN
9
カリグラからドミティアヌスまで(所謂五賢帝前まで)。解題にもありますが、年代記的なものではなく、皇帝自身やゴシップ記事など個人が書かれているものなので、歴史的背景を知っている前提でないときつい。それにしても下巻は特に暴君だらけ。序盤にちょこっと良い面書いて、後はそれを圧倒するほどの暴悪ぶりがだいたいの皇帝で描かれている。ティトゥスが比較的ましだけど、それでも若く死んだからと言われる始末。こんな暴君に対してなかなか反乱起きないものだと呆れました。ある程度知ってるので楽しんで読めました(大分忘れてたけど)2018/02/05
シンドバッド
7
上下2巻共に、とにかく 息を継がせぬ面白さ というか、興味津々が湧き上がる。 勿論、訳者に負うところが大きい。2016/09/07
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