出版社内容情報
日本の古代国家はどのような構造だったのか。中国・朝鮮との緊張関係は、内政にいかなる影響を与えたのか。大王と国造、天皇制と官僚制、軍事と農事、租税と共同体……。推古朝から大化改新を経て律令国家の成立に至る過程に、首長制の切り口で正面から迫った本書は、今なお古代国家を論じるに避けて通れぬ必読文献である。(解説=大津透)
内容説明
日本の古代国家はどのような構造だったのか。中国・朝鮮との緊張関係は、内政にいかなる影響を及ぼしたのか。大王と国造、天皇制と官僚制、軍事と農事、租税と共同体…。推古朝から大化改新を経て律令国家の成立に至る過程に、首長制の切り口で正面から迫った本書は、今なお古代国家を論じるに避けて通れぬ必読文献である。
目次
第1章 国家成立史における国際的契機(交通の問題 戦争と内乱の周期;権力集中の諸類型 推古朝;二つの方式 大化改新;第二の周期 天平期)
第2章 大化改新の史的意義(改新の課題 史料批判の問題;人民の地域的編成 王民制から公民制へ;改新と東国首長層;改新政権の軍事的性格;権力構造について)
第3章 国家機構と古代官僚制の成立(過渡期としての天智朝;「政ノ要ハ軍事ナリ」天武・持統朝;東洋的専制国家 天皇制と太政官;古い型の省と新しい型の省)
第4章 古代国家と生産関係(首長制の生産関係;国造制と国家の成立過程)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
10
いわゆる「マルクス主義」の立場からの古代国家像。以下、門外漢による勝手な印象だが、東アジア史の文脈から日本の古代国家をとらえ直そうとしているのは、現在の視点からも新鮮。(おそらく「東洋的専制」の文脈からの着想なんだろうが…)そして特に第四章では、文化人類学の視点から古代国家をとらえようと試みている。著者はヨーロッパ留学時に文化人類学の勉強に没頭したということだが、中国の古史研究でも文化人類学的な視点からの研究が試みられてきており、同時進行的に同じような手法が模索されていたという点で興味深い。2017/02/16
takeshi3017
3
前に読んだ大津透氏がその著書の中で本作を絶賛しており、「古代国家を論じるに避けて通れない必読文献である」とまで書いていたので興味を持ち手に取ってみた。だが、はっきり言って自分にとっては、難し過ぎた。岩波の日本史本は難しいイメージあるけど本書もそれ。内容がほとんど頭に入ってこず、理解もできないのでとりあえず読んだだけ。意味のない読書というものがあるとすればまさに本書を読んでいた時間だろう。歴史に詳しい人、この時代(弥生~奈良)の専門家が読んでピンとくる本で、自分のような歴史の素人にはお勧めできない。時間が→2024/11/16
hyena_no_papa
3
500頁を超える大部。脈絡のない披露宴のスピーチを延々と聞かされている気分。内容が難解である上、所論が体系化されず、箇条書きや図表を用いるわけでもなく、文章が〝だらだらと〟続くので読んでいてうんざりする。「はしがき」に述べる本書構成の意図には不信感を持つ。『後漢書』から『旧唐書』に至るまで「倭国」として現れ、間違いなく「日本の古代国家」と言いうる視点を放棄した理由は何か?何度か出てくる邪馬台国の位置づけも半端。「倭の五王」については一瞬しか登場しない。これが「マルクス主義史観」というものなのか?2021/02/01
こずえ
0
4、50年前の本ながらいまだに日本古代史を読む場合の必読書的なやつ。
陽香
0
197101302018/11/15