内容説明
分配された土地と住民を返上し、インディオ救済を目ざして本国に赴いた司祭ラス・カサスが対峙する最強の相手は国王の顧問会議であった。その彼らが征服戦争を正当化すべく作成したインディオ向けの勧降文を筆者が歴史家として全面的に批判するくだりは圧巻である。
感想・レビュー
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壱萬参仟縁
3
エスパーニャ人がインディオを使役し、静かで穏やかな暮らし方をしていた原住民の、秩序と調和を保った生活は徹底的にかき乱され、完全に崩壊してしまった(52ページ)。可哀想すぎる。この時代に国際法があったなら、こんなことになっていないが、法治主義が介入できない時代だから仕方ないが。コロニアリズムの端緒となってしまったのだろう。集落はプエブロという(249ページ)。原住民は村落から都市に至るまで、平和で落ち着いた共同生活を営んでいた(257ページ)。それでも法令が紹介されているので、ルールをつくってはいたようだ。2012/12/24