内容説明
エスパニョーラ島の破壊が進行する中で感覚麻痺に陥った植民者を糾弾してゆく修道士たちの動きを追い、本国ですすめられた法整備とその問題点を追究する筆者は、他方で従軍司祭としてキューバ島征服の露払いとなったかつての自分の役割を総点検してゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
3
「必要なものだけで満足するという、この島のひとびとのような質素な生き方をこそ是認し称賛しているのであり、その反対に、われわれのような行き過ぎた願望とか傲慢な生き方、あくせくとした熱心さとか貪欲さといったものを嫌悪し、罪として断じているのである」(98ページ)。味読できる箇所であった。本当に、つつましく暮らしていた人たちを侵略して、出て行け、などというような侵略者の人間性はどうなっているのか。単なる悪魔にしか思えない。現代人は質素倹約とはいえ、格差社会の犠牲者がそうせざるを得ないが、慎ましくいきたいところ。2012/12/24
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