出版社内容情報
自伝の口述を思い立ったとき,ランケはそれと関連させて彼の同時代史を語り,それをもって,いわば学問的業績のしめくくりにしようと考えていた.結局,この計画は果たされることなく終ったが,近代史学の巨頭が語るこの「自伝」には,彼の歴史学の生成過程,彼の資質とそれを育んだ同時代の精神的雰囲気が鮮かに再現されている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
africo
3
史料批判を用いた科学的な近代歴史学の祖とされる19世紀ドイツの歴史家の自伝。読んでいて最初はピンと来ていなかったのだが、青年時代のランケはタキトゥスはじめローマや古代ギリシアの歴史書ばかり読んで研究している。その他の文書の話があまり出てこんなあと思ったのだが、そもそも史料批判や実証主義を確立した人の自伝である。それがはっきり産まれる前の話だ。そらそうよ。逆にそれ以前の歴史学ってなんなのだろう?歴史書の行間は言いたい放題だったのだろうか?自然科学の発展と実証主義の発達に関係があるのかしら。今後気に留めたい。2021/07/09
ロバーツ
0
歴史学者ランケの自伝。2025/03/30
よく読む
0
史料批判による科学的歴史学を大成したランケの自伝。興味をそこまで持てなかったからか、分野に疎いたか、内容は頭に入らず読み流した。彼の歴史観を理解するのに、巻末の解説が役に立った。ヘーゲル的な全体が同じ方向に進む歴史観ではなく、個別の中に普遍性を見出すのがランケである。彼は、講義のヘロドトスのような古典を読んでいくうち、当時流通していた歴史が食い違っていることに気が付き、研究を始めたらしい。2018/04/01