出版社内容情報
「歴史の父」の名を冠されるギリシアの史家が述べる,前五世紀のペルシア戦争を頂点とする東西抗争,東方諸国の歴史.著者は,ギリシア人と異邦人とが果した偉大な事跡,両者が争うに至った原因を後世に伝えるべくこれを書いた.何よりもまず正確さが重視され,豊富に織りこまれた説話は長巻を飽かず読ませる魅力をもつ.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiroizm
25
下巻はペルシャ王クセルクセスのギリシャ侵攻がメイン。塩野七生氏の著書や映画「300」などでの予習効果か、予備知識があったため中巻よりは早く読めた。でも戦闘の描写は拍子抜けするくらいあっさり。インド兵も混じっていたという多国籍軍ペルシャの様相とか、あまりの大軍が飲んだことでいくつもの川が枯れたとか、海が荒れ自軍の船が沈んだことにペルシャ王が激怒し海に向かって鞭打つとか、通過する都市国家のペルシャ王接待費数十億円などなど戦争以外のエピソードが多くて、それがまた意外と面白かった。なんとなく慣れてきたかな。2025/05/23
明智紫苑
21
クセルクセスとアメストリスって鬼畜夫婦だな。それはさておき、旧約聖書のエステル記に出てくるクセルクセスの最初の妃をアメストリスと同一視する人がいるけど、あちらはあくまでもフィクションだよね…? さらに、他ならぬエステルこそがアメストリスだという説もあるようだが、はて?2016/03/16
きゃれら
17
ダレイオス王の遺志を結局引き継いでヨーロッパ侵略に着手するクセルクセス王の挫折の一代記ということか。クセルクセス遠征軍の内訳が延々と記述されるのを読むと、戦争にコミットなんかするわけない外国人部隊が多すぎて、数はすごいけどダメなんじゃないの?と思ったら案の定という話だった。一大プロジェクトが失敗してしまう経緯は、今と何も変わっていない。あるいは、ロシア、イスラエルも同じ道をたどってしまう可能性もあるのではないか。たいそう読みにくい本ではあるが、読み終えると楽しい読書だったと言える。2024/03/30
壱萬参仟縁
13
アルタバノスは、「束の間の人生におきましても、生よりもむしろ死を願わしく思うことが、一度といわず幾度も起らぬほど仕合せな境遇に生れついた人間は、唯の一人もおりません。不幸に見舞われ、病に悩まされるものには、この短い人生も長すぎるように思えて参ります」(42頁)。これに対して、クセルクセスは、「われわれは現に仕合せを掌中に握っているのであるから、不幸のことなどは考えぬようにしよう」(同頁)と応じている。その後、人類の戦争史の一コマが示唆するのは、仕合せな時など、ごくわずかに過ぎないことを現代人に自覚させる。2013/09/19
はる
10
クセルクセスの引き継いだアケメス朝の対外政策は従兄弟ら臣下の暴走が対ギリシア情勢を作ったような感じ。アケメス朝祖キュロスに貧しい大国は周辺土地を犠牲を強いても求めるべきとの建言そのまま走ったのがペルシアのようだ。ギリシアは超多民族社会を纏めペルシアという悪夢に対した技術を見いだした。戦争は誰かが領導し、犠牲もつきもの、それをやったのがアテナイでありスパルタ。当時の世界が神がかる神託や預言や迷信に満ちる思っていたがヘロドトスの頭は冷静な地理、風土、歴史の言葉に溢れていたように読めた。大変面白い再読したい。2025/01/28
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