出版社内容情報
スリランカ出身の学僧ラーフラが最古の仏典に依拠して仏教の基本的な教えを説いた書。究極的真理をめざす実践の本質とは?
内容説明
「人間は誰でも、決意と努力次第でブッダになる可能性を秘めている」。スリランカ出身の学僧ワールポラ・ラーフラ(1907‐97)は、最古の仏典に収められたブッダのことばのみに依拠して、仏教の基本的な教えを体系的に説いた。究極真理をめざす実践の本質とは?近代精神を意識して書かれた英語圏最良の仏教概説書。1959年刊。本邦初訳。
目次
第1章 仏教的な心のあり方
第2章 第一聖諦―ドゥッカの本質
第3章 第二聖諦―ドゥッカの生起
第4章 第三聖諦―ドゥッカの消滅
第5章 第四聖諦―ドゥッカの消滅に至る道
第6章 無我(アナッタ)
第7章 心の修養(バーヴァナー)
第8章 ブッダの教えと現代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅんさん
54
ほとんどの宗教が“信仰”に立脚しているのに対し仏教で強調されているのは“見ること、知ること、理解すること”というのが興味深い。仏教は思ってたより合理的で理知的、私が抱いていた印象とだいぶ違っていた。難しくて分からないところもあったけど最良の仏教入門書と言われるのはわかる。2021/04/24
SOHSA
39
《図書館本》原始仏典に関するわかりやすく親切な入門書。それでいて核心は決して外さず、読み手の知りたかったことをストレートに伝えてくれている。日本仏教とはまた趣きを異にする本書の内容は、タイトルのとおりブッダの声が直截的に読み手の心に響いてくるようだった。仏教の本来が長い年月を隔てて現在に甦ったかの印象、素晴らしい1冊だった。2021/01/20
yutaro13
30
スリランカ出身の学僧による仏教概説書。文庫200ページに満たない文量でありながら、四聖諦を基軸としてドゥッカ、無我、八正道など仏教の基本的要素並びに現代的意義が語られる。簡にして要を得た解説が素晴らしいが、この手の本で瞑想法まで言及されているのは珍しいのではないか。仏教が「信じる者は救われる的な宗教」ではなく、実践を重んじた哲学であることがよくわかるというもの。原著は1959年刊で最良の仏教入門書として欧米で読み継がれてきたようだが、日本語版が出たのは2016年。原始仏教への関心の高まりが背景だろう。2019/05/10
fishdeleuze
27
テーラワーダの学僧が西洋人向けに書いた仏教の入門書で、主に初期仏教におけるブッダの教えについて書かれている。小乗的、論理的かつ簡潔に書かれている良書。また理論だけではなく、瞑想法などにもページが割かれており入門書としてバランスがいい。1959年刊と古い本だが、ふるさをまったく感じさせない。2017/10/31
おせきはん
21
「英語圏最良の仏教概説書」という紹介の通り、ブッダが説いた柔軟で実践的な考え方のポイントを学ぶことができました。第8章で紹介されていた「安らかな人は勝敗を捨て幸せに生きる」「己一人にうち克つ人こそじつに最上の勝者である」などのメッセージにも共感しました。2019/05/15