出版社内容情報
数多い仏教書の中でも「いづれの行も及びがたき身なれば,とても地獄は一定すみかぞかし」といった『歎異抄』の文言ほどわれわれに耳近いものはあるまい.親鸞滅後,弟子唯円が師の言葉をもとに編んだもので難解な仏典仏語がなく,真宗の安心と他力本願の奥義が,和文によって平易に解かれている.段ごとに大意を付した.
内容説明
数多い仏教書の中でも「いづれの行も及びがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし」といった『歎異抄』の文言ほどわれわれに耳近いものはあるまい。親鸞滅後、弟子唯円が師の言葉をもとに編んだ本書には難解な仏典仏語がなく、真宗の安心と他力本願の奥義が、和文によって平易に説かれている。段ごとに大意を付した。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
72
何度目かわからない再読。最近SNSを見るとそこで繰り広げられる正義競争に疲れた為に読む。自己の正義を声高に叫び相手を非難するだけの言説と比べると、ここにある内省はある意味絶望を孕みながら何と心地の良い事か。悪人正機を説いた「善人なおもて往生をとぐいわんや悪人をや」や「地獄は一定住処ぞかし」等は何度読み返しても心に来る。妙な話だがこれを読むと自分のどうしようもなさと、それでもそのままでいいと肯定されている安心感の二律背反的な物を覚えつつそれでもほっとさせられるなあ。不思議な話だが疲れている人にお勧めしたい。2025/01/06
やいっち
69
若い頃 何度となく読んだ。三木清の影響だったか、それとも真宗王国富山の必然か。……そう言えば、高校生の頃 「歎異抄」にかぶれたか、つい地元の新聞社に投稿した。すると驚くことに(多少 意に食わない検閲の上)新聞に掲載された。生まれて初めて自分の文章が活字に。
33 kouch
43
学問は内に向けられるべき。その喜びを人に伝える。それを見て人は学び始める。師も弟子もない。皆信ずるもの唱えるもの同胞である。人はただ念仏を唱え他力により救われる。何かへの執着は人間力を停滞させる。善悪もない、寧ろ悪のほうが救いの手が必要な場合も多く救われる機会も多い。全体は難解で理解出来なかったが、幾つか気づきを得ることは出来たと思っている。南無阿弥陀仏…2024/09/09
Y2K☮
43
人は煩悩と共に日々を営む。それを変に立派になろうとして自力で治そうとしても無理。眩し過ぎる光は却って濃い影を生む。ならば己も他人も同じ生死の不安と愛憎の悩みを持つ平等な存在として捉え、念仏を唱える事で弥陀による救済を願う=他力本願。善を以て任ずる者は己の力を恃むが故にこの救済から遠く、むしろ意志薄弱を痛感している悪人の方が近い=悪人正機。解毒剤があるからといって毒を平気で飲んでいいわけではないが、この世知辛い社会で生きる以上、殊更に己の中の悪を否定しなくてもいい。自然でいよう。煩悩があるから救われるのだ。2016/10/26
スプーン
33
親鸞(しんらん)の教えを死後、唯円(ゆいえん)が記したもの。「悪人は悲しみを多く知り、苦労した分、善人より学ぶことも多い。念仏は自身の為であり、同時に他者の為でもある。」との教え。2018/02/01