出版社内容情報
源信(九四二―一〇一七)は,初めに八熱地獄の一つ一つの大きさ・業因等に触れ,その極苦の様をリアルに描いて罪の恐ろしさを思い知らせる.その上で,地獄に堕ちず極楽往生するには一心に仏を想い念仏する以外にはないと説く.源信の思想は法然・親鸞の浄土教にうけつがれるが,とりわけ地獄思想は文学・絵画に深い影響をおよぼした.
内容説明
源信(942‐1017)は、第一章で八熱地獄の一つ一つの大きさ、業因等に触れ、その極苦の様をリアルに描いて罪の恐ろしさを思い知らせる。その上で、地獄に堕ちず極楽往生するには一心に仏を想い念仏する以外にないと説く。源信の影響は法然・親鸞の浄土教にうけつがれるが、とりわけ地獄思想は文学・絵画に深い影響をおよぼした。
目次
大文第一 厭離穢土(地獄;餓鬼道 ほか)
大文第二 欣求浄土(聖衆来迎の楽;蓮華初開の楽 ほか)
大文第三 極楽の証拠(十方に対す;兜率に対す)
大文第四 正修念仏(礼拝門;讃歎門 ほか)
大文第五 助念の方法(方処供具;修行の相貌 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayzk
10
読み難い。現代語訳が無いので。地獄の様子が面白かろうと、また他の大部分も、往生するためには行きつくところ「阿弥陀仏を信じましょう」の延長線上程度だろうと。そして古本で百八円で見っけたので読んでみた。ところが。素晴らしき極楽に往生するための複雑多岐にわたる論理の構成。膨大な経典を読みこなしての論文であります。また、平安時代の「極楽往生の為のまとめサイト」みたいな書物です。 仏の額の白毫って大事なんですね。何度も文中にその重要さが出てきます。 もう、下巻はこの岩波の原文は止め。現代語訳の本を探します。2017/03/05
迦陵頻之急
1
もっぱら日本版ダンテ「神曲」として認識されている書物だが、要は膨大な仏典から浄土思想の要諦をまとめ上げたもの。地獄極楽に関する詳細な記述は、冒頭のほんの一部に過ぎず、飽くまで極楽往生への願いに導く導入に過ぎない。弥勒仏に対比して阿弥陀仏を推す記述もあり、平安期に入って仏像の人気が弥勒から阿弥陀へ移って行く風潮も納得。平安貴族には盛んに読まれた様子だが、庶民に浸透するのはまだ先の話。命題を際限もなく分類、細分化して分析してゆく古代インドの論理学は、ギリシャ風の論理の組み立てとは異なり、現代人にもどうも晦渋。2025/05/04
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