出版社内容情報
中国最初の史書『史記』の最後にこの七十の列伝が置かれている.宰相,武将,循吏,酷吏,刺客,侠客,素封家等,司馬遷は貴賤を問わず「正義を保持し,ひとに屈せず,機を失わずして世にあらわれた人々」をとりあげ,それぞれにしたたかなこれらの人間の生きざまを,躍動する筆致で描き,史記の全体世界像を構成する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
midorikawa-e
5
メモ:儒者や酷吏・遊狭の徒など、史記の世界は市井へも広がる。 列伝を通読した感想:登場人物達のエピソード集として読んでも面白いですけど、その配置にも目を向けたい。これは、司馬遷の手になる小宇宙といってもよい。更に言うなら、これは、古代東アジア文明の畜積により生じたもの、いや古代東アジア文明の絶頂と呼んでよいものかもしれません。2016/03/01
MAT-TUN
5
酷吏列伝(厳しすぎる官僚)、遊侠列伝(任侠に生きる勇者)、佞幸列伝(媚びへつらって上司のご機嫌を取る者)、中学や高校の歴史の授業ではぜひ本書記載の事項も紹介して欲しい。 佞幸列伝には、愛と憎しみのその時々の変わるさまは何とひどいものか、なんて司馬遷はコメントしてますが、このオチはひどいんじゃないか(笑)2011/12/12
6 - hey
4
4巻で伝説的な記述が少なくなった~と書きましたが、第5巻は酷吏列伝、遊侠列伝、佞幸列伝、貨殖列伝等再び昔話的な記述が大半を占めています。2013/07/08
にゃん吉
3
酷吏、游侠、貨殖といった特定のテーマでの叙述が多く、現代の社会史、民衆史とは観点が違うとは思われますが、当時の社会が垣間見えて、面白い。最後に置かれた太史公自序は、史記編纂にかけた司馬遷の想いが記され、どうにか最後まで読み終えたという感慨も合わさり、胸に沁み入るものがありました。列伝全巻を読み終え、本書には、現実主義、儒家等の思想、皇帝制、官僚制、宮廷政治、中華思想等々の、長年、中華圏の文化、文明、社会の根幹、伝統となっていた事項が詰まっていて、中国を知る上で、非常に有用な本ではないかと思われました。 2023/04/22
astrokt2
0
未レビュー2009/05/30