出版社内容情報
中国最初の史書『史記』の最後にこの七十の列伝が置かれている.宰相,武将,循吏,酷吏,刺客,侠客,素封家等,司馬遷は貴賤を問わず「正義を保持し,ひとに屈せず,機を失わずして世にあらわれた人々」をとりあげ,それぞれにしたたかなこれらの人間の生きざまを,躍動する筆致で描き,史記の全体世界像を構成する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MAT-TUN
6
衛青や霍去病は、漢代における最盛期を築いた武帝の時代に登場した英雄として、極めて強い印象を残した。本書では漢の時代の人物や朝鮮など中国から見た異国の風土も多く書かれていて興味深い。2011/12/12
sonohey
4
司馬遷ジェネレーション。勇敢なる飛将軍李広、何度となく匈奴を破った衛青、霍去病、俊才にして立ち回りの上手い公孫弘と才能を持ちながら主君を脅迫し死を得た主父偃、文学の才を諫言に活かした司馬相如、傲慢により身を滅ぼした淮南王、衡山王、一時は高い地位を得ながらも時勢のなかに埋れていったキュウアン、鄭荘。帝という不可侵の光のもとに集まった天才たちとそれを淡々と描写した司馬遷。才能も仕事も人それぞれです。2019/02/21
midorikawa-e
4
メモ:前漢武帝期の将軍、官吏の他、匈奴や東越、西南夷など世界は広がる。2016/03/01
6 - hey
4
北方史記にもでてくる衛青や霍去病が出てくるのですが、もはや伝説的な記述はなく(とはいえ誇張的な表現はありますが)、事実をまとめた書物になってきて面白みは減ってきます。ここらへんは北方謙三『史記』で楽しみたいと思う。2013/07/08
にゃん吉
3
匈奴、南越、朝鮮、西南夷列伝と、周辺の異民族の話 が厚く叙述されています。「中華」と「夷狄」といった、以降も長年、中国文明を貫く価値観や、異民族との関係性が垣間見える気がしました。李陵の件では、大分昔に中島敦の小説を読んだのを思い出し、また読んでみたい気がしました。司馬相如列伝では、司馬相如作の賦が相当引用されています。技巧的なことは分かりませんが、訳文でも、夥しい漢字、漢語が躍るような壮麗な雰囲気があり、漢字を用いた美文というのは、こういうものだろうかと思い、中国的文化の一端を感じました。 2023/04/13