出版社内容情報
『荘子』は道家思想の代表的古典として,儒家の論語や孟子などに対立しつつも古代中国思想の重要な一翼をなし,我が国にも多大な影響を与えた.卑小な人間世界から飛び立ち,人為を超越した自然の世界に融けこんで,自由な精神を得ようとする荘子の思想は,まことに魅力的である.一(内篇),二(外篇),三(外篇・雑篇),四(雑篇).
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
16
この辺まで来ると後世の寄せ集めということが感じられるが、内容は一貫して無為自然を説く。心の持ち方を捉えているのだとすれば、これほど救われることはない。荘子とは面白いものであることがよく分かった。天人、神人、聖人、君子、百官ときて凡人とくるのか。荘子の目指すところは聖人であり、孔子は君子であるとのこと、孔子の儒家は道家よりもランクが低いことになる。これを面白いと言わずして何と言う。2000/10/24
ロビン
14
最終第4巻は「雑篇」。やはり儒家風刺が多いが、墨子への批判の意を込めた説話もある。特に盗人の盗跖による孔子批判は強烈で、弟子の子路が最後は殺されて塩漬けの刑に処されたことを孔子の責任に帰しているが、これは中島敦『弟子』の愛読者としては孔子の責任にするのは違うと思うし、そもそも師弟の問題に他人が口を出してそんなことを言うのはひどいとも思った。孔子も子路の最期を思って苦しんだだろうから・・。「道を体得できたなら、順境も逆境も寒暑風雨が移り変わる程度のことになる」との言葉がいい。変化に動じない境涯を目指したい。2025/02/05
ゆうきなかもと
8
やったー\(^o^)/ ついに読了!! 岩波文庫版全四冊をすべて読み終わりました!! しかも、出先や移動中にしか読まないというルールのもと10年ぐらいかけて読み終えました((((*゜▽゜*)))) やったー(´▽`)ノ 常識に捕らわれないナンセンスな話を読みたいなら、やっぱ荘子だよね(●´ω`●)2016/05/28
荒野の狼
7
第三冊に含まれなかった荘子雑篇の後半8篇を収録。2ページの訳者の金谷治のあとがきには、荘子の外篇・雑篇は難語が多く、第一冊から11年かかった旨と本書が金谷の東北大学での最後の著作であることが短く記されているが、荘子の文章は難解で、書き下し文だけを読んでも全く意味がとれないことが多い。外篇と雑篇(荘子第二、三、四冊)の語句と人名索引は61ページに及び有用だが、第二、三冊には索引がないので、本書は入手しておきたい。2014/09/01
シタン
7
最後の巻。「忘言」の章が心に残った。偽作とされる篇も案外面白かった。この時代に現代科学に通じる思想があったこと自体が驚きだが、実際に現代日本においても荘子に傾倒して新しい科学を模索する学者がいることはすごい。東洋から新しい科学が生まれることを期待。2018/02/27