出版社内容情報
『荘子』は道家思想の代表的古典として,儒家の論語や孟子などに対立しつつも古代中国思想の重要な一翼をなし,我が国にも多大な影響を与えた.卑小な人間世界から飛び立ち,人為を超越した自然の世界に融けこんで,自由な精神を得ようとする荘子の思想は,まことに魅力的である.一(内篇),二(外篇),三(外篇・雑篇),四(雑篇).
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
15
第2冊が買えないので、これを読む。引き続き因循主義、坐忘の精神が様々な形で説かれる。孔子が道の前では知に頼る空しい人間として描かれているのが面白くもあり愉快でもある。人間が自然の一部でしかないこと、従って何もしないことが最も道理に叶うということなのか。2000/10/23
ロビン
14
第3巻は「外篇・雑篇」。巻末に「付録」として「荘子」の後世への影響と展開のあらましが載っている。人智による工作を良しとせず無為自然を説く「荘子」は、ある意味でモンテーニュの『エセ―』にある「無知」礼賛や、ジャン・ジャック・ルソーが『エミール』で唱えた「造物主の手を離れるときには、すべてが善いものであるが、人間の手に渡ると、それらが例外なく悪いものになっていく」の言説を思わせるところがある。自らの智に酔い、自然を支配したつもりになり傲慢に陥り、しっぺ返しを受ける人間の愚を鋭く批判する精神は、現代にも響く。2025/02/04
shinano
11
やはり難解。その文意を読み下しでは言葉(漢字熟語の寓話的意味や歴史的事象からの転化)に悩まされ、立ち止まってもさっぱりわからない。 丸呑みしてやるの意気込みも、やわなぼくの理解消化器官では中国の学識者でさえ悩んできた荘子の漢字に、まるで喉と食道に漢字の小骨がたくさん刺さる。2016/06/28
ゆうきなかもと
9
やっと読了>_< ちまちま読んでたら 多分五年くらいかかってしまった 最後の金谷先生の解説が素晴らしい。よくまとまっているので、このジャンルに興味のある人は一読の価値あり。2015/05/04
シタン
6
外篇後半と雑篇前半。いよいよ老子との折衷、淮南子や列子との重複が目立つ。おっと思ったところが淮南子との重複だったので、淮南子は読んでみたい。総じて、同時代の様々な思想との関係性が興味深い。解説では、禅や仏教徒との関係性や、荘子を読み始めてすぐに「結局、自分の考えと同じだ」と言って読むのをやめた人がいたなどという話が載っていて面白い。2018/02/16