岩波文庫
ふたすじ道・馬 他三篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003317631
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「己らアお仙さんさえ居なけりゃア、どんなになったってかまわねエんだ。」スリの少年、女工の姉さん、頑固な親方や失職軍人―鋭い筆鋒で明治から昭和を生きた言論人、長谷川如是閑(1875‐1969)の小説がえがく東京下町はその原風景である。他に「お猿の番人になるまで」「象やの粂さん」「叔母さん」を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

2
また久々の日本文学。これまたかなり異色の作品。登場人物は江戸の匂いが色濃く残る東京に住む庶民。庶民というかもっといえば貧民に近い。言葉遣いも未だ日本全国画一化されていない、驚くような用法の宝庫。辞書を作る人は必見。「わくわく」をネガティブな意味で使ったり、難しいと六かしいと書いたり。正書法が確立されていなかったのか、作者の個人的な用法なのか。明治から大正にかけての一個人が上手く描き出されている。急激な変化のなかで取り残されていく人々への感傷を込めたまなざしが印象的。2012/02/09

hisayparrish

1
如是閑の小説。倫敦!倫感?を読み、その鋭い文明批評に感銘を受けたが、小説も書いていたことを知り、読み始めた。やはり独特だ。下町言葉がテンポよく、市井の人間模様を浮かび上がらせる。突き放したような結末、余韻の残る結末とそれぞれが深い味だ。憧れの女性に対する如是閑(萬次郎)の気持ちも表れている。「ふたすじ道」吉とお仙さん、「お猿の番人になるまで」留造とおはっちゃん、「叔母さん」のMと叔母さん。他に「馬」(軍人猪河少佐とアカツキ)、「象やの粂さん」(象使い粂さんと象の善八・ゴル)動物への思い入れの描写もよい。2023/05/18

ゆうちゃんママ

1
この作家、初めてです。会話が、なかなか軽妙ですね。2011/05/02

冬衛

0
「伯母さん」2015/10/15

壱萬弐仟縁

0
反骨のジャーナリストによる下町情緒溢れる会話が小気味よい。「象やの粂さん」(177ページ~)では、現代のNEETには耳が痛いことを言う場面がある。すなわち、粂さんが善八に怒鳴りつける場面。「働くのが忌やで、毎日ぶらぶら遊んでいてえなら勝手にしろい」(190ページ)だという箇所。もしも、如是閑が今生きていたら、反骨精神でもって原発再稼働、反消費増税、反TPP、反マイナンバー制度などと言っていたのだろうか? 小説においては、親方の喧嘩への態度も、今日的には人間としての生き様を語る面であまり見られない感じだった2012/08/11

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