出版社内容情報
民藝美学の基盤を浄土思想に求めた柳宗悦は,晩年独自の仏教美学の世界に到達した.本書には,仏教美学の四部作として知られる『美の法門』『無有好醜の願』『美の浄土』『法と美』を収めるとともに,この四部作への序ともいうべき「仏教美学の悲願」「仏教美学について」の2篇を併収.『南無阿弥陀仏』とならぶ晩年の傑作集.
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohjin
13
民藝の美を見いだし、工藝運動を推進してきた著者がたどり着いた「仏教美学」について述べられた本。他力により凡夫、悪人をも救済する仏教の思想を、美の世界に転用し、名もなき職人が美を実現し得ることを熱い想いで語っています。美しさを目指そうとする自我から離れ、無心に自在になることが真の美につながるという理論は、学術的に論証されるものかわかりませんが、自分には強く惹き付けられるものを感じました。工藝を中心とした美術の世界を想定していますか、文学や音楽など他の分野にも及び得るのか、さらに考えてみたいと思いました。2023/03/26
アムリタ
8
すばらしい、すばらしい、すばらしい、何度書いても足りないくらいすばらしい。 善悪、好悪、美醜、すべてを分けようとするこの世の性を超えた不二の世界=浄土。 それは必ずしも彼岸の話ではないと言う。名もなきものが自らを虚しくし、自分などというちいさなものを忘れ、繰り返し茶碗をつくるとか念仏を唱えるとき、仕事が仕事する、念仏が念仏するという境地に至る。 そこからうまれるものが美しくないわけがないというのである。深い思索と、行動、直観により到達したのが この「美の法門」で、もっと読まれるべき。2020/02/27
laptop
2
ありのまま見る2022/10/26
にゃん吉
2
仏教美学を提唱し、民芸品の美を、他力とか、妙好人といった仏教的な観念を交えて解き明かす論稿集。宗教、美についての長年の研究と実践を経て辿り着いた著者の思想が、比較的わかりやすい言葉で書かれており、興味深くありました。 2020/10/03
ディーポ
2
こんな美の世界があったんだ!とものすごい発見をしました。 この思想を受け継いで発展させてかなければ、となぜか使命感に駆られました。 これからも読んでいきます。