出版社内容情報
李朝の焼物との出会いを通して民藝に開眼した柳宗悦は,四百年前,同じ李朝の焼物を茶の湯にとり入れたわび茶の創造者たちの仕事を知るにつれ,茶道に傾倒,既成の茶道の立場に批判を加えながらユニークな茶道論を展開した.柳の茶道論の骨格となる「茶道を想う」をはじめ十篇を精選,彼の座右銘であった「茶偈」と「点茶心指」を付す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっちも
18
日本を深く知れる一冊。例えば渋さという語。外国語に訳しようがこの語は、仏教の思想を茶道が美意識に昇華し、広く日本人の価値観に浸透している事が説明されている。 そして読ませる美文。民芸運動というムーブメントが起こるなっと思わせる、誇りと熱と陶酔に浸る読書でした。 茶道は「五蘊皆空」すべては空なりという諦観から、美醜、完全不完全、優劣、無価値価値といったニ元の執着から離れ、自由を目指す試みなのだと。壊れた器、無名の朝鮮陶工の雑器、窯で失敗し歪んだ器、自然で作為のないものに、評価に値しないものに価値を見出す2019/10/22
Mayu
5
こういう本は私にとっては楽しむ読書というよりは、取り組む読書という感じで、普段読んでる本と比べてかなり難しく、頑張って読みました。柳さんの辛辣な批判が的外れでないだけに、一応家元系のお茶をお稽古している自分としては、次々繰り出される刀を必死で受けているような心持ちでしたが、熊倉先生の解説で、この封建的なものへの怨念とも言うべき嫌悪感は、戦後すぐという時代背景もあったのかなぁと思えるフォローがあって、ちょっと救われましたが。とは言え、仰っていることは至極もっとも、薄々なんか気になっていたことを、クリアにして2019/05/21
たつのすけ
0
◎2022/02/07