出版社内容情報
南無阿弥陀仏という六字の名号が意味するものを説き明かしつつ,浄土思想=他力道を民藝美学の基盤として把え直した書.なかでも,日本における浄土思想の系譜を法然―親鸞―一遍とたどり,一遍上人をその到達点として歴史的に位置づけた点は注目される.柳宗悦晩年の最高傑作であり,格好の仏教入門書である. (解説 今井雅晴)
内容説明
南無阿弥陀仏という六字の名号が意味するものを説き明かしつつ、浄土思想=他力道を民芸美学の基盤として把え直した書。なかでも、日本における浄土思想の系譜を法然‐親鸞‐一遍とたどり、一遍上人をその到達点として歴史的に位置づけた点は注目される。柳宗悦晩年の最高傑作であり、格好の仏教入門書である。
目次
念仏の仏教
三部経
沙門法蔵
阿弥陀仏
第十八願
念仏
他力
凡夫
六字
西方
一念多念
廻向不廻向
来迎不来迎
往生
行と信
自力と他力
僧と非僧と捨聖
仮名法語
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
65
浄土宗の歴史を柳宗悦独自の視点でとらえ直したもの。「南無阿弥陀仏」の念仏以外には何もいらないという主張はかなりラジカル。この本の内容からは離れてしまうけど1000年以上も昔に生きるとは何か?本当の幸せとは何か?本当の救いとか何かということを命がけで考えた日本人(法然、親鸞、一遍のこと)がいたという事実には胸が熱くなった。青臭いと言えば青臭い生き方だけど青臭さを失ったら、人間は惰性で生きるだけになってしまう。2013/07/25
syaori
55
民藝品の美に「他から」の力を感じたことを因縁に「他力」による往生を願う念仏宗に惹かれた作者が、主に浄土宗、真宗、時宗について説く本。その思想の深まりや宗派による相違を多角的に親しく語ってくれて興味が尽きません。心に残ったのは、仏の大悲による他力も、修行による「自力」も、道は違えど「たどり着く頂」は一緒だという部分。ここから作者と念仏宗の因縁を語る部分を読み返すと、念仏に限らずどんな仕事でも一心に行えば凡夫でも「自力の天才」と同じ景色が見られるのだ。そんな声を聞くようで、胸が熱くなりました。2020/02/25
U
33
民藝研究の第一人者である著者が「南無阿弥陀仏」の意味について(若者向けに)やさしく語ったもの。連載をまとめた本なので一つ一つの章が短く読み易い。法然、親鸞、一遍の三者を比較しながら進める論法は、分かり易く興味深いもの。宗悦本人による図版(仏教美術)の解説や、付録『心偈(こころうた)』も付いて、大変読み応えのある(=お得だと感じた)一冊。古美術商にいたとき『心偈』の一つを書いた宗悦自筆の一幅があったのを思い出した。2018/05/13
松本直哉
31
貴と賤、善人と悪人、信じる主体と信じられる客体、諸々の二元的対立の解消が浄土だというが、最後に残る浄と穢の対立は解消されないままだ。穢土からの救済と浄土への希求は表裏一体だが、救済後の穢土はそのままなのか。後は野となれ山となれなのか。浄穢の対立を超えた解決はできないのだろうか。この点をあいまいにしたために浄土諸宗は「穢れた」職業に携わる者への差別を黙認することになったのではないか。原発事故後の今、穢土とは文字通り放射能に汚染された大地。穢土を穢土のまま捨て置いてめでたく成仏というのは虫が良すぎはしないか2020/05/18
koji
15
【長谷川宏著「日本精神史近代篇上」に登場する7人を長谷川さんの言説と共に辿る旅の第7回】最終回。長谷川さんは、2つの点で柳を評価します。①国家に適切な距離を取り批判的な眼を持つ続けたこと、②民芸への愛と敬意と、人々の日常の暮らしへのそれを確り結びつけ思索し実践したこと。そして本書では、凡夫の手になる民芸品の美しさは、称名(南無阿弥陀仏)を繰り返し唱えることが仲立ちとなっていると言います。ここで繋がりました。長谷川さんが近代日本人の精神の弱さとした「個の強さ」を体現した柳宗悦を知ることで私の旅は完結しました2024/06/27
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