出版社内容情報
法制史・日本史研究に巨大な足跡を残す三浦周行(一八七一‐一九三一)の手になる都市研究の古典.都市自治に焦点をあてた「中世の大阪」(一九二五)をはじめ,「堺港」等収録された五篇の論文は,いずれも現実の関心を先取りし,鋭い歴史的感覚にささえられた上方文化論でもある.中・近世の大阪と堺を概観できるユニークな書.図版多数.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
古代から中世にかけての大阪と堺を論じた一冊。大正の論文という事で今の眼から見たら読みにくい部分もあるが、今まで知る事の無かった部分に光を当ててくれているのは嬉しい。特に南北朝期の堺とか、触れられているのは一般書ではあまりないのではあるまいか。大阪に関しては古代と本願寺下、江戸時代等に分けて論じられている。ただ、いずれも焦点になっているのは自治と町人の力。堺の方は古代から南北朝と、室町から江戸時代が描かれているがやっぱり後者の方がダイナミックで面白いなあ。この二都市の独自の魅力を存分に語っている本でした。2017/10/23
壱萬参仟縁
10
中世の大阪の古地図が書いてあり、捲るとその活字版の地図も現われる(12頁~)。堺は立派な経済都市となり、市民には富豪が多く、市政を処理し、堀に水を湛え、警備厳重。自由市(53頁)。発展していたのがよくわかる描写がある。大阪も世界の大都市となった。大阪は経済的都市。大阪は非官僚的。大阪は批評的。大阪には成金が多い(75頁)。どうも、僕は中部日本だが、西日本の方にはウケがよいようだ。人間、真面目だけではいかんな。学生時代はわたくしのひょうきんさは爪隠してきたが、本サイトでは本領を発揮している。ザビエルと堺も。2014/02/08
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