出版社内容情報
紡績業は日本の資本主義の発展にあずかった基幹産業の一つである.ヒューマニスト細井は,この産業を底辺で支えた女子労働者たちの苛酷きわまりない生活を自らの体験と調査に基づいて克明に記録した.本書を繙く者は誰しも,近代資本主義の残した傷痕のいかに深く醜いかをしたたかに思い知らされずにいない. (解説 大河内一男)
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
76
内容案内によると:「「紡績業は日本の資本主義の発展にあずかった基幹産業の一つである。ヒューマニスト細井は、この産業を底辺で支えた女子労働者たちの苛酷きわまりない生活を自らの体験と調査に基づいて克明に記録した。本書をひもとく者は誰しも、近代資本主義の残した傷痕のいかに深く醜いかを思い知らされずにいない。」解説は、大河内一男2021/01/24
たまきら
26
他愛ないですが、小学生の頃松田聖子主役の「野麦峠」を見て、女性や弱者が搾取されることへの戸惑いと怒りが心に根を張った気がするんです。あはは。そして久々にこの本を読み(ははあ、近所の話ではないか!)と。無知なものや弱い立場の者に巧妙に話をもちかけ、自分からすすんで出稼ぎに行きたいと言わせる手口が紹介されていて、今も昔も変わらないんだなあ…と。今だって正規とか不正規とか、労働者の搾取はもっと見えにくい形で続いている。またアイドルさんに主演してもらわないとなあ。夫の実家にて。2018/05/07
金吾
25
あの時代によくこれだけ調べたなあと感じるくらい詳細な内容であり、一級資料だと思いました。当時の風俗がよくわかりました。2021/12/26
ドラマチックガス
16
日本の産業革命期に関する古典的名著。読んでいてとてもつらい気持ちになる。この頃に比べればだいぶましになったのだろうけれど、未来の人からみれば現代も「昔の人はよくこんな環境で働いていたな」と涙を落とすような有様なのでしょう。というより、そんな未来になることを望んでやまない。2022/10/19
kenitirokikuti
14
図書館にて。日本労働史のため手にしたが、予想に反してけっこうおもしろレポートである▲工場の鎮守社。信仰のためではなく、祭日が娯楽であった、と。屋台が出たり、女工が模擬店を出したり▲カストリ雑誌的なあれこれ。同性愛。まぁ、布団は十分に支給されてるが、19世紀フランスの娼婦みたく抱き合って雑魚寝すること多し。単純に寒いってのもあるだろけど。手淫症。紡績機の管かなにかを持ち帰って陰部に差し込むという「嘘らしい話」。ただ、山芋が抜けなくなって医者が来たという実話はあるそうな。ほか、力織機の振動でオナるとか(男女共2021/03/12