岩波文庫
麺麭の略取

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003312537
  • NDC分類 309.7
  • Cコード C0136

出版社内容情報

明治41年末秘密出版された最初の邦訳.ゾラがこれこそ真の詩だと嘆賞した原典の名文を秋水は非常な苦心と細心の心づかいをもって訳出した.わが近代思想史上のひとつの代表作として,また大正期アナーキズム運動の経典として大きな影響力をもった記念すべき訳書である.山川均「当時の思い出」を付す.解説=塩田庄兵衛

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

10
安楽(ウエルビーイング)なるべき権利、天下万人の安楽(◎付34頁)。強調のための○、◎が結構ある。『安楽の権利』は、人類の如く生活し得べきこと、及び其児孫を養育して吾人よりも一層優等なる社会の一員となし得べきことを意味する(48頁)。超格差で家族を持てない時代だから、不安楽な国か、ニッポンって国は。「文明社会に於いては、総ての事物が相錯綜して居る、全体を変革せずして、何れの部分をも改良することは出来ぬ」(76頁)。確かに。木を見て森を見ず、では困る。真のパンとは、何の糧になるのか。自由のかけがえのない糧。2014/01/22

てれまこし

2
科学を生産力向上に向けることで政治は不要のものとなるとみるクロポトキンの限りなく楽観的な科学的社会主義は、今となっては二重に空しく響く。ただ、無政府主義者のマルクス主義に対する批判が、今日の新自由主義者の福祉リベラルに対する批判と重なっているのが興味深い。どちらも権威によるタテの関係を解体することにより個人の自由を確保しようとする。ただ、無政府主義では個人は自主的に団体へと組織されていき、ヨコの連帯を強めていく。今日の非政府団体や脱国家団体の台頭にもつながる議論であり、市民社会論にも通じる視点ではある。2018/01/19

ゆきんこ

1
例え話が多すぎて、それ自身が理論の脆弱さを露呈してしまっているような気が。2021/10/14

○○○ ○○

1
ところどころツッコミ所はあるが、強権的社会主義は永続せず無政府共産主義に取って変わるという主張はマルクス主義とプロレタリア独裁の限界が歴史的に明らかになった今となってこそアクチュアルに響くし、機械化によって労働の強制から人々を解放する、それによって「今日少数者のみの占有している斯かる娯楽を万人に」与えるというコンセプト自体は完全に同意できる。我々の求めるべきは労働の権利よりも安楽の権利であるべきだ2021/02/05

Saiid al-Halawi

1
幸徳秋水訳、後書きに山川均。私はこの人が好きだ。「此賃銀制度の下に於ける人間精力の浪費の学を与ふるに"経済"学てふ名を以てするは、何等傷ましき諷刺なるよ!」(p.196)。工業社会の勃興/隆盛期、現今のグローバル経済の負の側面の萌芽を既に往時にあって看破しているあたりが全く面白い。ただし訳が相当古い。新訳を希望。2011/10/08

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