出版社内容情報
備前岡山の一藩士の娘として生まれ,女性解放運動の先駆者となった著者(一八六五‐一九二七)が,明治十八年,自由党左派が企てた大阪事件を中心に,きびしく波瀾に満ちた半生を率直に語った自伝.自由民権運動が高揚した明治中期の一断面を描く貴重なドキュメントであり,明治政治史研究・日本女性史研究上の必読書. (注・解説 絲屋寿雄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
92
女性解放運動の先駆けとなった福田英子の自伝。格調高い文語体の文章が非常に印象的。文は人なりの言葉通り、気概に満ちた明治の女性の生き方が伝わってくる。福田英子には司馬さんの明治もの小説に出てくる登場人物たちと共通する志を感じた。彼女が参加した自由民権運動の内幕が分かる政治史の書でもある。明治という時代は、よりよく生きようとする個人的な願いと、国を変えたいという政治的な願いを一致させることができた幸福な時だったのかもしれない。2014/04/03
qwer0987
6
明治期に社会運動家として活躍した福田英子の自伝だが、波乱万丈で読みものとして楽しめる。気が強く聡明な彼女は女権拡張の話を聞き社会運動に身を投じる。そのために家出するなどバイタリティは高い。ただ大阪事件のやり方はあまりに杜撰だし、男性陣の計画性と責任感のなさには唖然とするほかない。しかし出所後の熱狂など含め、当時の雰囲気が伝わり興味深かった。男関係はいろいろ苦労しているようだが、それも含めて劇的な人生を生きてきたようだ。朝ドラで扱ったら面白いなと思えるほど(無理だろうけど)魅力的な自伝である。2022/03/15
ポチ
1
古い言葉なので英語の本を読んでいるような感覚になりました。意味のない感想ですみません。読んでよかったです2019/04/28
にゃん吉
1
小学校の助教員から自由民権の闘士となって大阪事件に関与し(爆発物の運搬を担当)、収監、出獄後女学校を設立する辺りまでが自伝として書かれています(解説で、その後の人生も知ることができます)。これだけでも相当な経歴ですが、私生活でも、大井憲太郎との関係、夫との死別など波乱万丈です。大阪事件について、中心人物の失踪、活動資金が酒食に浪費されたことなどの内情が記され、大井の女性関係が指摘されたり、川上音二郎が批判されたりと、教科書では書かれない自由民権運動の一端が垣間見えるところも興味深いものがあります。
Gen Kato
1
再読。革命だテロだと言って金をかき集めては遊郭で蕩尽してしまう自由民権運動の「志士」たち。ひとりやきもきする女闘士・英子さんが気の毒。そんな連中のリーダーである重井(大井憲太郎・妻あり)の「結婚の約を履まん」をなぜ信じちゃったのか。「妾の終生の誤り」と苦々しく追憶する英子さん。刑務所内で出会った女囚たちとの関わりなど、英子さんの真面目な人柄が窺えるだけに最低である、大井(怒)2014/04/13




