出版社内容情報
明治民間史学の巨星,山路愛山(一八六五‐一九一七)が晩年に書き上げた家康伝の先駆的業績.徳川氏の発祥から江戸幕府開設を経て家康の死までを論ずる.家康をはじめ,信長・秀吉・三成等に対する的確な人物評価や東日本と西日本の社会の相違についての鋭い考察が光る愛山史論の最高傑作.愛山小伝と引用史料一覧を付す.
内容説明
下巻では、本能寺の変から秀吉の天下統一・関ヶ原の戦い・江戸幕府開設を経て、家康の死までを論ずる。家康をはじめ、信長・秀吉・三成等に対する的確な人物評価や東日本と西日本の社会の相違についての鋭い考察が光る愛山史論の最高傑作。愛山小伝と引用史料一覧を付す。
目次
駿河・甲斐・信濃の占領
小牧陣の始終
秀吉と家康の講和
関東移封
関ヶ原戦争
豊臣氏の滅亡
徳川家康論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kk
11
明治・大正期に一世を風靡した在野の評論家・史論家、山路愛山の手になる徳川家康の評伝。なにぶんにも、100年以上前に書かれた古い本ですから、研究水準といった点では最近のものに比べるべくもないことと思いますが、人間通としての愛山の人物鑑識眼に感心させられること頻りでした。言葉遣い的にも決して読み易い本ではないものの、この著作から学ぶべきものは多いように感じました。2021/08/25
Hiromasa
1
一気読み2020/11/23
うた
1
巻末の三英雄評が面白い。信長は気をもって人を制し、秀吉は人たらしの名人、家康は力の信者。なるほど司馬さんの彼らの人物像は本書から来てたのか。ついでに外国貿易など、彼が書かなかった家康の一面も垣間見えて面白い。2014/05/18
筑紫の國造
0
下巻では家康の死までと、著者の家康論、そして山路愛山の小伝が収められている。各章の冒頭に年表があるのはいいが、「関東移封」以降の年表が余りに細かすぎて辟易する。大して歴史的に意味がないことをここまで細かく書く必要はないし、それなら本文をもっと充実させて欲しかった。著者が幕臣の家に生まれたせいか家康贔屓の嫌いもあるが、対立する石田三成も高く評価し、世評の三成愚将論への疑問を呈している。時代や人物を論じ、考証のみに終わらない史伝の面白さは十分に味わえるが、それだけに家康への言及が少ないのが残念だ。2016/05/31
2n2n
0
何と格調高き哀悼の意『ああ我家康は世の人の終に往く所に往けり。彼の小さき存在は消えたり。大なる宇宙は彼を呑み尽くしたり。雲は依然として風に漂い、雨は依然として地を湿せり。されど人類の最も大なる英雄は遂に黄土と化したり。人の生るるや自ら好んで生れたるにあらず、天地万有はその不可思議なる全力を凝らして一人を生じたり。天地万有は彼を試練し、彼を教育し、彼をして或る事を地上になさしめたる後、更に彼をして死なしめたり。この秘密、この秘義、誰がこれを解するものぞ。ああ我家康も遂にこの難解の秘密に捉えられたりp308』2013/08/01