出版社内容情報
「一身独立して一国独立す」は,福沢(一八三四‐一九〇一)の基本理念をあらわす有名な言葉である.その一身を独立させるための啓蒙と教育に彼の生涯は捧げられた.政治と教育の関係,道徳教育のあり方,学校経営の方針から教科書の検定等々にいたるまで,福沢の提起した諸問題とその主張は,今日なおわれわれに示唆を与えずにはおかない.
内容説明
「一身独立して一国独立す」は、福沢の基本理念をあらわす有名な言葉である。その一身を独立させるための啓蒙と教育に彼の生涯は捧げられた。政治と教育の関係、道徳教育のあり方、学校経営の方針から教科書の検定等々にいたるまで、福沢の提起した諸問題とその主張は、今日なおわれわれに示唆を与えずにはおかない。
目次
中津留別の書
京都学校の記
教育の目的
学者安心論
小学教育の事
徳育如何
学問の独立
政事と教育と分離すべし
読倫理教科書
文明教育論
子弟教育費
教育の方針変化の結果
教科書の編纂検定
新女大学
文明の政と教育の振作
慶応義塾の記
中元祝酒の記
慶応義塾新議
学校の説(一名、慶応義塾学校の説)
物理学の要用〔演説〕
経世の学、また講究すべし〔演説、前項の続〕
慶応義塾学生諸氏に告ぐ
成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ
付録 世界国尽(抄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
48
自由とは、他人の妨(さまたげ)をなさずして我が心のままに事を行うの義(10頁)。教育の目的は、人生を発達して極度に導くにあり。人類をして至大の幸福を得せしめんがためなり。天下泰平・家内安全、平安の主義(23頁)。政治:悪を懲らし害を防ぎて、心身の平安を助くる。経済:人工を便利にして形体の平安を増す(24頁)。霞ヶ関の外務省のみをもって交際の場所と思うべからず。貿易商売、学芸工業、智力の交際もある(52頁)。貧苦の中にも、よくその子を教育の門に入らしめ、もって今日の盛なるにいたりしは、2016/07/04
6 - hey
4
子を立派に育てるのが親の務めであり、金に糸目はつけてはならない。だから自分はもっとお金をかけてもらう必要があったのではないのだろうか?(曲解)2013/05/18
bossa19
1
国家の根幹としての教育の重要性、教育と政治の分離を唱えるなど、今読んでも通じる思想。自分中心の考え方を勧めてはいるが、その根底に国家のため、社会のためのよりよい人物を作る思想がある。二重否定の多用など文章は読みづらい。また、学問がかなり実学に偏っているきらいもある。2005/07/30
添川
0
日本の学校教育は問題だらけだと以前から思っていたが、この本を読んで絶望しか感じなかった。以前から思っていた自分の問題意識は、遥か昔に福沢諭吉が代弁していた。ではなぜ、最高紙幣に選出された偉人が唱えた通りに学校教育はなされていないのか?考えざるを得ない。本文は青空文庫で全て読めるけど、本書は巻末に適宜解説を挿入していて、良い補助になりました。2016/09/23