出版社内容情報
柳生宗矩(一五七一―一六四六)は,徳川将軍秀忠・家光の兵法師範であった.五十を過ぎてようやくこの道の滋味を得た,という宗矩は,以来次々と伝書を書きついだ.行政官僚への転進を機に,新陰流の技法・理論を集大成して『兵法家伝書』を完成.十余年後に書かれた『五輪書』とともに近世武道書の二大巨峰といわれる.
内容説明
柳生宗矩は、徳川将軍秀忠・家光の兵法師範であった。50歳を過ぎてようやくこの道の滋味を得た、という宗矩は、以後次々と伝書を書きついだ。寛永9年、行政官僚への転進を機に、新陰流の技法・理論を集大成して『兵法家伝書』を完成する。十余年後に書かれた『五輪書』とともに、近世武道書の二大巨峰といわれる。
目次
兵法家伝書(進履橋;殺人刀・上;活人剣・下)
新陰流兵法目録事
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカシール
13
戦での実戦経験がある剣豪であり、徳川二代、三代将軍の側近中の側近(剣術指南役&大目付)にして柳生新陰流を完成形にした達人が書いた書。親友であり、師でもある沢庵の『不動智神妙録』の引用もあり、禅(臨済宗)の思想にインスパイアされていることが伺える。400年も前から現代の剣道にまっすぐ通じるものがある。今、剣道ができることは本当に有難いことなのだ。コロナの影響で稽古は中断しているけれども、常に稽古の気持ちを忘れないようにしたい。2020/07/24
壱萬参仟縁
9
道くらき人 とは、「物事のあるべき理義、人の行うべき正しい道をわきまえていない人」(27頁脚注)。大学とは儒教の経書の方だが、学問をいくらしたとしても、道くらければ、いかん。三業平等・三密平等とは、身・口・意の産業で、手に印契を結び、口に真言を唱え、意に本尊を観想(62頁脚注)。初めて知った。バランス感覚はとても大事だ。僕は天秤座だから。手裏剣が出てくる(66頁~)。dirkが手裏剣のようだ(ハローの単語帳)。出るかな?2013/08/14
saladin
6
”妄心は皆、何事をなせども邪也。此邪の心出でたらば、兵法も負くべし…”。昔、スキー合宿で講習中、女子生徒グループの前で転んだ際、友人に”邪念が出たからだ”とからかわれたことを思い出した。これはつまり、現代の日本人にとっても”邪念(=妄心)を抱くと物事はうまくいかない”という認識が生きているということだろう。あ、スキーは下手だっただけです。2020/06/03
にゃん吉
3
柳生宗矩が記した柳生新陰流の目録、兵法書です。戦闘における諸々の心構え、技術論が記されていますが、一回勝負の命のやり取りの場で必勝を期すための術ということか、派手さはなく、むしろ、非常に細心、慎重な印象を受けました。著者の経験に導かれた極意が記されているのだと思われますが、なかなか理論的で、現代であれば、スポーツ科学等の科学に基づく理論や用語で書かれていそうな記述も見受けられ、興味深い。現代で人気のある武芸書の類というと、五輪書などがあると思われますが、本書も、なかなか興味深い一冊かと思われました。 2024/04/23
Hiroki Nishizumi
2
これは深い。字面を追うだけでは駄目で、真意を掴むには超人的な技能を必要とすることが分かる。この内容を把握出来ている人は本当にいるのだろうかと悩むレベルだ。武道家を名乗っていても多くは分かっていないと想像される。一読どころか百読してからがスタートなのかも知れない。2021/05/15