出版社内容情報
天保期,日本の封建制は内憂外患の時代をむかえ深刻な危機にみまわれる.この頃,渡辺崋山(1793‐1841)は高野長英(1804‐1850)ら蘭学者を通じて海外知識の吸収につとめていた.彼らの出発点は,海防問題・科学研究と相異なるが,やがて幕政批判の罪を問われともに非業の死をとげるのである.崋山「慎機論」,長英「夢物語」など先覚者の主要著作を収録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
9
漢字とカタカナの文などは読むのは容易でない。有名な「慎機論」(6頁程度と短いのは意外)、「戊戌夢物語」(これも11頁)ぐらいはどんな文体なのかは知っておきたい。前者は崋山。尚歯会例会でモリソン(本文では莫利宋 34頁)号に対し政府が撃攘策で臨むことに反対して著した(解題33頁)。また、「諸国建地草図」は筆ペンのような地形図が各国首都の事例が出ていて意外性がある。絵画としての地図というのが第一印象である。長英による後者とも、注を読んでいくこと。解説によると、経世家崋山と科学者長英という人物像(387頁~)。2014/02/14
シンドバッド
7
史実として『蛮社の獄』しか知らなかったが、本書に収められている著作等を読むことで、弾圧の背景を、自分なりに良く理解できた。2015/12/15