出版社内容情報
風姿花伝,申楽談儀とならんで,世阿弥能楽論の精髄を今日に伝える3作品を収める.いずれも息子の元能,元雅に相伝したもの.能の作り方の要諦を語った「能作書」は,正式には「三道」といい,演者の心得を語った「覚習条条」は「花鏡」のこと.「至花道書」は,体系的稽古を説いて世阿弥の理論家としての面目を示す習道体系論.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
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「能作書」は能の方法論だが、能に限らず、創作全般において適用可能。 種=キャラクター設定、作=構成、 道=表現方法(文章なら文体や言葉選び、映像なら演出や魅せ方)の三つからなる創作論。「覚習条条」は能の表現の真髄について。役者が役の性格と深くシンクロする「物真似」を舞台上の運動でいかに適用し、最高表現である「幽玄」に到達するかを探る。「至花道書」は能の構造分析。能の稽古で大切な五箇条を説く。中でも、「幽玄」をも超える表現の境地「闌位」からは、世阿弥の美学的認識の根幹が覗ける。2016/10/05
壱萬参仟縁
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種、作、書、三道より出でたり。一に能の種を知る事、二に能を作る事、三に能を書く事也(5頁)。老、女、軍、三體也(8頁)。音曲、舞はたらき、足りぬれば、上手と申す也(37頁)。心にてする能は、上手の名をとる也(38頁)。気になるのは、能を通じて心を形成するのか。心を通じて能を形成するのか。能は何のために演じるのか。観客にみせることで、演者は心を伝え、観客からも心をもらう。なかなか難しい問題だが、旧字体で読みにくいため、意味を察するのは容易でない。『風姿花伝(花伝書)』と共に、舞台の人間模様、人間形成を知る。2013/10/11
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- 洋書
- Thémidore.