岩波文庫
オルレアンの少女 (改訳)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 287p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003294000
  • NDC分類 942
  • Cコード C0198

出版社内容情報

ジャンヌ・ダルクを戯曲化したシラーの傑作.烈しいこの世の愛の煩悩にうちかってもろびとの愛情のうちに静かに喜びの天国へと急ぐジャンヌの気高さに,過去数世紀,人々はいかに多くの涙を流してきたことか! ショウをはじめ,いままで彼女を描いた数多い作家の中で,シラーほど彼女に深い想いと気品を託したものはない.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

12
「おおマリヤ様!」「なんで尊いお方の名を呼ぶのだ? 神は貴様に関わりはないぞ」というキリスト教国同士で戦うがゆえのコント並みのすれ違い。だが、イギリスを相手にとるフランス側には天の啓示を受けたと語る電波ゆんゆんな無敵の乙女が祖国を守るため突如参戦。ジャンヌ・ダルクを取り巻く奇跡が起きたと思わせるほど劇的な展開、非常に輪郭がはっきりしていて把握しやすい各人物の言動、にも関わらずそれぞれの思惑は様々なズレを孕んで救国の奇跡の正体も本当に神の御業か確定できない両義性を振り切れない。王道中の王道と言えるザ・物語。2017/05/21

Nemorální lid

6
ジャンヌ・ダルクが百年戦争において突如として現れ、敗北に瀕した祖国を救った逸話は有名である。当著はシラーがその英雄に題材を取ったものであるが、『史実の大筋を保つかぎり、箇々の出来事については、無遠慮に自由な取扱いをした』(解 p.285)通りで、オルレアン包囲などが幕間に移されたり、史的順序が異なったりしている。更にジャンヌの死が史実と全く異なる展開であるが、『主人公自身の罪と贖いとの契機によって、はじめて「悲劇」の深みを得た』(解 p.285)ように、偉大さや崇高において当著は素晴らしい作品だと考える。2018/12/31

SIGERU

6
「オルレアンの乙女」は、ドイツ人のシラーがフランス救国の乙女ジャンヌ・ダルクを題材に採った五幕の戯曲。副題に「ローマン的悲劇」とあるが、まさに仰るとおり。終幕の「奇蹟」には正直いって駭かされた。喩えが唐突だが、「風の谷のナウシカ」を思い出した。宮崎駿がシラーにインスパイアされたと空想するのは牽強付会に過ぎるだろうか。シラーのシュトルム・ウント・ドラング時代は1780年代に終わったとされ、「オルレアン」は1801年の作品なのだが、その浪漫的熱狂と圧倒的な台詞回しとは、「群盗」時代からまったく衰えていない。2017/08/06

がんぞ

3
ドイツでもっとも愛される戯曲の一つという。15世紀、ブリテン島の支配者は大陸にも領土を持っていた…そしてバラ戦争…の後期に起きた奇跡。(一般的表記)シラーは、大胆に、史実とは別の「こうだったらよかったのに!」を描く(人物各自が「俺はこうする」意志を表明する戯曲というジャンルはテーマに相応しい)。武道に長けた救国の少女に魔女疑惑…。カバーにある「…神への誓いに背いて敵将ライオネルに恋してしまった」はネタバレの上、間違い。神が(エリコの戦いのように)殺すのを命じたが、花の顔(かんばせ)を惜しんで殺せなかった。2016/02/13

亜済公

2
古語、旧字体の類が多く見られたので、辞書を片手に読み進めた。戯曲を読むのは数年ぶりだが、楽しめた。ドラマティックで、特にラストの盛り上がりも良かった。史実とは異なる、かなりの部分が創作された作品であるが、結果的に成功している。巻末の解説も含め、非常に良質な一冊だった。2020/03/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/52842
  • ご注意事項