内容説明
「多民族・多人種的状況/被征服・植民地の記憶」「暴力的風土・自然/マチスモ・フェミニズム/犯罪・殺人」「都市・疎外感/性・恐怖の結末」「夢・妄想・語り/SF・幻想」の四部構成。16編を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
141
ラテンアメリカ諸国の有名作家達の短編を訳者が集めたもの。共通する暗さ、得体の知れなさ、呪術的な気配。しかし絶望してはいない強かさを感じる。『青い花束』(オクタビオ・パス メキシコ)トニ・モリスンの『青い目が欲しい』を読んだのかしら。 『ワリマイ』(イザベル・アジェンデ ペルー)娘の魂を想いやる優しさとその後の生命力。リョサ『決闘』のエネルギーはロックで、マルケス『~先生の夏』のエネルギーは血の滲みたベルベットで覆われていそう。『目をつぶって』(レイナルド・アレナス キューバ)ケーキを持ち上げる少年。2019/08/15
藤月はな(灯れ松明の火)
104
ラテンアメリカ文学には明るい色彩の中に哀しみとそれを包むような幻想性があって奇妙な懐かしさを覚えるものが多い。そんなラテンアメリカ文学の魅力を濃縮したような短編集。「青い花束」の日常から非日常へと変わる一瞬の恐怖や「日蝕」のコミカルさ良い。特に過去に蔑ろにし、捨て去った事への悔いと噛み合わない現世と彼岸のディスコミニケーションへ、次元を超えた愛と復讐が成就するまでの「トラスカラ人の罪」が良かった。そして犠牲になった女性への静かな悼みに貫かれた「ワリマイ」も。それにしてもホセフィーナ、色々と面倒臭すぎるよ!2019/04/16
コットン
74
ラテンアメリカ文学は今までは読んでも入り込めないというのが正直な感じだったが短編集なら好きになる作家に出会うかもと思い読んでみた。冒頭の作品のオクタビオ・パス『青い花束』は短文だけど印象的だ。ガルシア・マルケス『フェルベス先生の幸福な夏』は読み終わって上手い!と感心。こちらも短いマリオ・ベネデッティ『醜い二人の夜』は後味を残す物語。最後のアドルフォ・ビオイ=カサーレス『水の底で』が幻想風な作風だからか、好みに合って一番面白い。2023/11/10
やいっち
56
南米文学は、それなりに読んできたが、大半は長編。長編の読み応えは断固ある。でも、本書に限らず短編も注目すべきと知った。中でも、マリオ・ベネデッティ作の「醜い二人の夜」には参った。気持ちが分かるだけに痛いほどに感じた。愛には勇気が必要だ。他にも傑作が幾つも。表紙のの絵は、リベラの「アラメダ公園での日曜の午後の夢」だとか。2019/09/23
踊る猫
43
岩波文庫のアンソロジーは概してハズレがない。この短編集もどれも甲乙つけ難い短編が揃っており、こちらを惹き込む魅力がある。訳文が読みやすいのも良いね。ラテンアメリカ文学というとどうしても風俗/土俗の文化や幻想的な作品をイメージさせられてしまうのだけれど、そういうものも含まれてはいるけれどリアリズムに徹した作品も込められている。そこでこの作品集を懐の深いものとして捉えるか、逆に一貫性がないと捉えるか、読者は試されるのではないか? もちろん私はこの短編集を肯定的に捉えたい。マリオ・バルガス=リョサを読まなくては2019/06/24
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